【ソウル=岡部雄二郎】韓国の文在寅ムンジェイン大統領が次期法相候補に指名したチョ国グク・前大統領府民情首席秘書官(54)は2日、娘の不正入学疑惑などに絡んで記者会見を開き、「若い世代を失望させた。国民に申し訳ない」と陳謝した。自らの不正な関与については否定し、指名を辞退しない考えを示した。文氏は近く法相に任命する構えをみせており、野党は激しく反発している。

 チョ氏の娘を巡っては、高校在学中、2週間の研修に参加しただけで専門性の高い医学論文の第1著者となり、これを実績に名門・高麗大に特別枠で合格した疑いが持たれている。韓国検察は8月27日、高麗大などを家宅捜索して捜査を始めた。

 チョ氏は2時間以上に及んだ記者会見で自らの働きかけを否定する一方、論文について、「第1著者の判断基準があいまいだったのではないか」と述べた。

 文氏は看板政策の検察改革を進めるために側近でソウル大法学部教授のチョ氏を法相候補に指名し、人事聴聞会の開催を国会に要請した。しかし、疑惑を巡る証人の人選などで与野党の調整がつかず、期限の9月2日までに開かれなかった。文氏は再度国会に開催を要請する見通しだが、最大10日の期限を過ぎて聴聞手続きが終わらなければ、関連法の規定でチョ氏の任命を強行することが可能だ。

 一連の疑惑は、韓国の若者が最も嫌う学歴不正の問題であるうえ、法相候補の家族を巡る異例の強制捜査にまで発展したことから、韓国世論の反発が強まっている。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20190902-OYT1T50251/
讀賣新聞 2019年 9月2日(月)21:59