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北朝鮮が西海北方限界線(NLL)近くの咸朴島に探知距離30−60キロの日本製レーダーを設置したことが4日までに分かった。咸朴島から半径60キロ以内には仁川国際空港、江華島、仁川港などがある。仁川沖合全体が事実上、北朝鮮軍のレーダー探知圏内に入ったことになる。

 韓国政府関係者は「北朝鮮が咸朴島に設置した日本製レーダーを識別した」と明らかにし「正確に確認する必要があるが、海岸砲挑発の際に西海地域の艦艇を識別する用途と推定できそうだ」と述べた。北朝鮮は監視や偵察能力が低いため、それを補うためレーダーを設置したという意味だ。

 北朝鮮は問題の咸朴島軍事施設の建設を文在寅(ムン・ジェイン)政権発足直後の2017年5月から開始した。韓国国防部(省に相当)の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)長官はこの日国会で開催された国防委員会全体会議で「施設の建設工事は17年5月から始まった」とした上で「北朝鮮兵力の1個小隊が配備されたことを把握している」と証言した。韓国軍はこれまで咸朴島軍事施設について具体的な情報を公表せず、「9・19軍事合意違反ではない」としか言及してこなかった。しかし北朝鮮が西海平和水域内の咸朴島に韓国軍の脅威となるレーダーを設置し、最近まで軍事施設を拡大してきたことが明らかになり、この問題を無視することができなくなった。

 韓国の野党議員からはこの日一斉に「文在寅政権発足以来続いてきた挑発」「9・19軍事合意違反だ」などの声が上がっている。しかし鄭長官は「9・19軍事合意の条項を見ると、北朝鮮の行為は明らかな違反とは考えにくい」との見方を示した。

 西海NLL周辺の無人島における北朝鮮の要塞(ようさい)化作戦は2015年から始まった。最初は延坪島から4.5キロ離れたカル島だ。北朝鮮は当時、122ミリ放射砲(多連装ロケット)4門と100人以上の兵力をカル島に駐屯させた。16年にはカル島の東にあるアリ島の要塞化を進めた。文在寅政権発足後はさらに東の江華島から近い咸朴島に観測施設とレーダーを設置した。NLLに最も近い無人島を次々と要塞化し、延坪島から漢江河口をつなぐ一種の海上防衛ラインを築いた形だ。

韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長は「無人島を占領し、一種の海上GP(監視所)を設置したようなものだ」「海岸砲や長射程砲などに観測所の役割をさせると同時に、警戒作戦のラインを南に拡張する狙いがある」などと指摘した。

 しかし韓国軍ではこれまで北朝鮮によるこれら一連の脅威について「現政権で起こったものではない」と主張してきた。鄭長官も国会国防委員会で「2015年の木箱地雷事件後から軍事的な部分が最大化し、その中でこのような活動もあった」と証言し、咸朴島要塞化を前政権に責任転嫁するかのような発言を行った。鄭長官のこの証言についてある予備役将校は「北朝鮮の軍事挑発を現実として認めた場合、西海平和水域の設定などを骨子とする9・19軍事合意への批判が高まることを警戒しているようだ」との見方を示した。

 この日行われた国会国防委員会では、北朝鮮による咸朴島要塞化は9・19軍事合意違反かどうかを巡って激しい議論が繰り広げられた。保守系野党・自由韓国党の白承周(ペク・スンジュ)議員は「南北軍事合意解説書」を取り上げ「(解説書には)従来と同一レベルの防衛態勢を維持する必要が明記されているが、これに北朝鮮が違反した」「咸朴島挑発は軍事合意違反だ」などと主張した。これに対して鄭長官は「9・19軍事合意違反ではない」と反論した。咸朴島の軍事施設が9・19軍事合意違反かどうかを巡って鄭長官は無所属の徐清源(ソ・チョンウォン)議員とも激しくやり合ったが、その際委員会は一時停会もした。野党からは「軍事合意によって韓国軍の偵察能力は制限を受けているが、北朝鮮は小細工を弄(ろう)して監視・偵察能力を高めている」などの指摘も相次いだ。

ヤン・スンシク記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/09/05 11:00