短期間の観光ビザなどで入国した中国人3人を徳島県の農家に違法にあっせんした疑いで、中国人の35歳の女が逮捕されました。

逮捕されたのは中国人で徳島県上板町の会社員 劉秋霞容疑者(35)です。

警察によりますと、短期間の観光ビザなどで入国した中国人3人を、人手が足りない板野町の2軒の農家に違法にあっせんしたとして、出入国管理法違反の疑いが持たれています。

中国人3人のうち2人は2週間ほど、1人はおよそ1年3か月働いていたということで、時給はいずれもおよそ800円だったということです。

調べに対して劉容疑者は「おおまかな事実関係は認めるが、善意で紹介した」と供述しているということです。

警察は、ほかにも複数の中国人を違法に紹介していたと見て捜査を進めています。

あっせん受けた農家「 深刻な人手不足」

あっせんを受けて中国人を働かせていた徳島県板野町の農家の男性が、NHKの取材に応じました。

男性は雇用した理由について深刻な人手不足を挙げ、「ハローワークで募集をかけても人が集まらないので、親戚や友人に頼んで仕事をしていたが、なかなか思うように進まなかった。以前、外国人の技能実習生を3人雇っていたがみんな逃げてしまった。逃げられると次の人を雇う手続きに半年以上かかってしまう。それまでは人がいないので作付面積を減らさざるをえないという悪循環だ。中国人を紹介してくれたので、簡単な方法と言ったらいけないかもしれないが、アルバイトのような感じでできるならと思い、雇ってしまった」と話していました。

農業の現場で急増 不法就労の外国人

高齢化や後継者の減少で農業の人手不足が深刻化する中、平成27年の国勢調査によりますと、農業に従事する外国人は国内で2万人余りに上っています。

このうち徳島県内は、中国人やベトナム人など339人となっています。

その一方で、農業の現場では不法就労で摘発される外国人の数が急増しています。

法務省によりますと、平成26年は946人でしたが、去年は2504人と、4年間で2.6倍に増加しています。

業種別の摘発件数でも「農業従事者」が最も多くなっています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190911/k10012076001000.html
NHKニュース 2019年9月11日 14時47分