こうした見方に対し、ひろゆき氏は「高齢者の中には差別的な意識のないまま、国籍を一括りにして"何とか人"という言い方を日常的にしているもいる。子ども向けのアンパンマンも勧善懲悪だし、水戸黄門も勧善懲悪だが、外国人さえいなければ日本は夢の国になるんだと信じてしまっているという部分があると思う。だから八つ当たりというよりも、危機感を感じて、今の状況を良くしたい。そのために敵を倒す、戦うということなのではないか。そして、"正義"を主張して日本の足を引っ張っている人も多い気がする。貿易を盛んにした方が経済的には良くなるのに、韓国人の旅行客は来なくていい、というようなことをネット上に書いている」とコメント。

 その上で、「中国や韓国に向かうのは、勝てると思っているからじゃないか。本当の右翼は独立を目指して、六本木にある米軍基地を還せなどとアメリカを相手にする。でもネット右翼はアメリカに勝てないことが分かっているので、自分よりも下にいこうとする。自民党が好きなのも、政権を持っていて強いから。正義とは別に、単に仲間がいる、多数派だから、ということでそういう思想になっている」とも話した。

 夏野氏は「ネット右翼というのは自分を安全な場所に置いて"弱い者いじめ"をしている人だと思う。これが左の場合、政権と闘わないといけないが、"安倍総理はすばらしい。天皇陛下はすばらしい"と言いつつ、"悪いのは外にいる中国の人だ。韓国の人だ"というのは反撃が少ない。また、イギリスなどの移民排斥の運動とすごく似ていると思うのは、将来期待のある人は国を開いて富ませて、自分の生活を良くしようとする。一方で将来不安のある人は、海外の人がこれ以上来たら俺の仕事が取られると考えて防衛的になる。むしろ戦っている感じがせず、不満のはけ口にしているだけのように思う。そして、団塊の世代は圧倒的にリベラルが多いが、結構いい加減なことも言っているし、彼らがいい日本を作ってきたのか?という疑問と反動が、若者にネット右翼側にいく理屈を与えているような気がする」と話した。

 そんなネット右翼の影響力について夏野氏は「こういう特集をしていて言うのもなんだけど、ネット右翼なんて大して力を持っていないんだから、取り上げること自体がバカバカしいことなのかもしれない。うちの奥さんも変わらず韓国ドラマを見ているし、韓国アーティストの日本での売上げもすごい」と話した。

 箕輪厚介氏は「権力に寄るか権力を批判するかの違いだけで、ネット左翼=ネトサヨも根っこにある"心のマグマ"みたいなものは同じではないか。年収が多ければ勝ち組なわけではなくて、これから自分が伸びると思えなかったら不幸せだということだと思う。こんなことを言うと批判を浴びるだろうが、アイデンティティを感じられないとか、人生に充実感を得られていないといった不満のはけ口をリツイートなどの簡単な手段に求め、快感を得ていることには変わりないと思う。バカは差別するか陰謀論のどっちかだ。僕も炎上すると"ほら、安倍の犬が"言われる。本当に恥ずかしい、クソみたいな人間だということで終わりだ」とコメントした。

■「吐き気がするようなものが堂々と流通している」

 実際、奈良県安堵町では11日、ヘイトスピーチを書き込んだとして増井敬史町議(61)が辞職勧告されている。増井町議のFacebookには「極悪非道の在日Korean。両足を牛にくくりつけて、股裂きの刑に」といった書きこみがなされていた。

 番組が取材した、グッズ関連の会社を経営している佐藤さん(仮名、60)は、ネット右翼的な投稿や記事を毎日50回以上リツイートしている。「このバカさ加減をみんなに広めてやろうみたいな。ビジネスの中でも韓国絡みの仕事をするとろくなことがない。約束を破るわ、逃げるわというのが実際にあるので、どうも好きになれない」。さらに、「それまでタブーとされて表に出てこなかった在日特権みたいな話がネットで出てきて、韓国人・朝鮮人が怖いという、ピュアな日本人が感じていた"恐れ"が出てるんじゃないかなと」と主張した。ただし、リツイートした投稿が事実かどうかの確認はしていないという。「あ、これ韓国じゃんと思ったらリツイートするだけ」。