ソフトバンクグループ(SBG)傘下でインターネット検索サイト「ヤフー」を運営するZホールディングス(HD)と、無料通話アプリのLINEが、経営統合に向けて交渉していることが13日、わかった。LINEの利用者をヤフーの検索、通販サイトに呼び込み、ネット事業での支配力を高める狙いがある。

 LINEの株式を7割超保有する韓国のネット大手ネイバーも含めて交渉している。関係者によると、SBGとネイバーが50%ずつ出資して新会社を設立してZHDの筆頭株主になり、その下にヤフーとLINEをぶら下げる案が有力視されている。

 ZHDは、ヤフーが今年10月に社名変更して誕生した。国内で携帯電話事業を展開するソフトバンクが今年、ヤフーの株式の保有割合を44%に引き上げるとともに、役員を派遣し連結子会社にしていた。

 SBGは、ヤフーと共同出資するスマートフォン決済サービス「ペイペイ」をてこ入れするなど、利用者獲得に注力してきた。SBGはLINEとも、格安スマホ事業で連携していた経緯がある。

 一方、LINEはスマホ決済「LINEペイ」事業の採算確保のため、販売促進費などを抑制したが、決済事業を含む戦略事業の赤字を埋めきれていない。ソフトバンクグループと連携することで、経営基盤を固める狙いがある。

 SBGは今年9月、ヤフーが衣料品ネット通販のZOZO(ゾゾ)を子会社化する方針を発表。衣料品分野で先行する楽天などに追随する体制を整えていた。無料通話アプリで幅広く浸透するLINEをグループに取り込むことで、さらに顧客基盤を広げる狙いがある。

 LINEの通話アプリの利用者は約8000万人に上る。ヤフーは検索サイトのほか、通販サイトや金融事業も手がけており、大規模なネットサービス企業が誕生することになる。アジアでは中国のアリババ集団などネット企業の巨大化が進んでおり、ソフトバンクグループにとって対抗戦略は急務だった。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20191113-OYT1T50327/
讀賣新聞 2019/11/13 23:09