過去30年間にわたりソウルで勤務したグローバル金融CEOの言葉だ。「朴槿恵(パク・クネ)の創造経済や文在寅(ムン・ジェイン)の平和経済が何であるのか全く分からない。一つ確実なことは、国際資本が韓国経済に完全に興味を失っているという点だ」。JPモルガン資産運用コリアは11年目で韓国ファンド事業を終えた。役職員も半分近く減らした。スイス投資銀行のUBSも保有していたハナUBS資産運用の株式を売却した。このCEOは「かつて外国資本は『食い逃げ』という非難を受けた。これからは頼まれても来ない。食えるものがなくなったからだ」と語った。「食い逃げ」という表現もぜいたくなほど韓国経済が枯れているということだ。

最近、外国資本の「韓国エクソダス(大脱出)」が目立っている。この2年間にゴールドマンサックス、バークレイズ、マッコーリー銀行などが次々とソウル支店を閉鎖して離れていった。かつて海外本社から低い金利に借りたドルを運用して利益を得ていたが、韓国にも低成長と低金利が定着したからだ。もう黄金の卵を産む競争力を持った産業や企業も探すのが難しくなった。それで韓国経済に冷めた視線を向けている。その結果、韓国企業が外国に抜ける海外直接投資は今年上半期150億ドルを超えるなど連日過去最高を更新し、国内に入ってくる外国人直接投資は100億ドル以下にとどまっている。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は一昨日、任期2年半に「崩れた国を立て直した」と自慢したが、少なくとも経済分野では正反対だ。堅調だった経済が崩れる兆候が目立つ。成長率が1%台に落ちるなど主要経済指標が通貨危機やグローバル金融危機以来の最悪水準となった。政府は米中貿易摩擦など外部環境のせいにするが、問題は内部にある。今は政策金利1.25%と過去最低であるうえ、今年469兆9000億ウォン(約44兆円、前年比9.5%増)のスーパー予算が投下されている。為替レートも1ドル=1165ウォンとウォン安ドル高だ。以前なら輸出が増えて成長率も上昇する環境だ。にもかかわらず輸出は11カ月連続で前年同期比で減少し、設備投資も6期連続マイナスとなり、成長率まで落ちた。これは韓国経済が深刻な慢性疾患を抱えていることを意味する。

なぜこうした悲劇的な数値が出てくるのか。国家未来研究院の金広斗(キム・グァンドゥ)院長は最近のインタビューで「生産性の向上を考慮しない政策のため企業の負担が増え、競争力が落ち、さらに雇用が減る悪循環に陥った」とし「経済の主体の意志を殺して市場の活力を落とした点が現政権の最も大きな問題点」と指摘した。要するに、政策の失敗に対する市場の復讐ということだ。

「雇用政府」で非正規職が急増したのも同じだ。政府は「統計基準を変更したため」と言うが、経済専門家の間ではすでに予想されていたことだった。最低賃金上昇の負担を避けるため17時間未満の短時間勤労者が増え、政府が資金を投入して作った高齢者の雇用もすべて非正規職であるからだ。現政権が自慢してきた「従業員がいる自営業者」が減少したのも、市場の逆襲で一人または家族で経営するケースが急増した。

韓国開発研究院(KDI)や国際通貨基金(IMF)など国内外の専門機関は韓国経済の根本的な問題を主要産業の国際競争力低下と指摘している。高付加価値の先端産業は先進国を追いつけない状態で、重厚長大産業は中国の追撃を受けているからだ。にもかかわらず多くの政策が構造改革に背を向けて分配に偏り、労働市場の硬直性と生産性低下をもたらしたということだ。ムーディーズやS&Pなど格付け会社も現政権の最低賃金引き上げ、週52時間勤務制、法人税引き上げ、強い労働組合、過度な福祉拡大で実物経済が長期的低成長に向かっていると警告する。
(中略:元記事参照)

国民の体感景気が厳しい中、政府だけが「経済は成功している」と言い張れば挫折感と背信感が強まるだけだ。ギアをリアに入れてアクセルを踏むほど後進する。誤った政策に固執するほど、より大きな市場の復讐を招くしかない。「韓国経済にはもう食えるものがない」という声ほどぞっとする警告はない。そのような言葉が出てくる限り未来は明るくない。

イ・チョルホ/中央日報コラムニスト

ソース:中央日報/中央日報日本語版【コラム】市場の復讐…「韓国経済にはもう食えるものがない」(1)
https://japanese.joins.com/JArticle/259530