韓国政府が21日、2032年冬季五輪のソウル・平壌共同誘致・開催計画を決定したものの、北朝鮮は韓国政府のあらゆる対話提案を拒否している。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は新年の辞で「32年五輪南北共同開催は南北が一つの民族であることを世界にアピールし、共に飛躍する絶好の機会になる」と述べた。しかし、北朝鮮外務省の金桂冠(キム・ゲグァン)顧問は五輪共催提案に全く触れないまま、韓国政府に対し、「元も取れない愚かなさま」だとして無視した。チュ・ヨンチョル駐ジュネーブ北朝鮮代表部参事官も21日、国連軍縮会議で「米国が非核化の年末期限を無視したので、我々ももはや核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射しないという約束には縛られない」と発言した。これについて、国際社会からは「文大統領の提案を北朝鮮が事実上蹴ったのに、韓国政府だけが聞こえないふりをしている」との指摘が聞かれる。

 米国も文大統領の五輪共催構想に批判的だ。米ワシントン・ポストは韓国政府の構想の非現実性を指摘し、「絵に描いた餅(pie in the sky)」と書いた。

 実際に現在南北は五輪共同誘致・開催どころか、今年夏に開かれる東京五輪の合同チーム結成すら実現が不透明な状況となっている。南北は昨年2月、女子バスケットボール、女子ホッケー、ボート競技、柔道の4種目で五輪合同チームを派遣することに合意した。しかし、南北関係がこう着状態となり、合同練習どころか、対面もないまま1年を無駄にした。女子ホッケーは既に五輪予選突破が成らず、五輪予選には韓国の選手だけで出場する女子バスケットボールも合同チーム決定の可能性は低い。

 7月24日に開幕する東京五輪まで6カ月を切った。今から合同チーム結成で合意しても急ごしらえのチームで正常な戦力を整えるのは難しい状況だ。平昌五輪の女子アイスホッケー合同チームのように、社会的な論議を呼びかねない。政府高官は「(北朝鮮から)反応がないので、合同チームについては何も進められない状態だ。まずは韓国代表チームの結成を準備し、北朝鮮の反応を引き続き見守らなければならない」と説明した。

アン・ジュンヨン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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2020/01/22 09:20