「韓国は米国との関係を強くすることが最も重要なのに、文在寅(ムン・ジェイン)政権の韓米軍事情報包括保護協定(GSOMIA)などに対する扱いを見ると、韓米同盟を重視していないような様子が時折見られる。だから、中国に弱点を握られるのではという懸念もある」

 中曽根平和研究所の藤崎一郎理事長(72)は昨年12月末、本紙の「2020年企画インタビュー」で、日本が感じる韓米同盟に対する不安を率直に語った。藤崎理事長は何度も「韓米同盟の強固な基盤の上で南北関係を解決した方がいい」と言った。

 日本外務省の駐米公使、北米局長を務め、「ワシントン・スクールのゴッドファーザー」と呼ばれた藤崎氏は2008年から4年間、駐米大使を務めた。日米協会会長に続き、2018年からは中曽根康弘元首相が作ったシンクタンクを率い、日本で米国の動きを最もよく知る人物の一人と言われている。

−日本では文在寅政権発足後、韓米同盟の将来を非常に憂慮しているようだ。

「韓国にとって韓米関係は本当にとても重要だ。

韓国は米国との関係のために、より努力しなければならない。常に韓米関係をトップ・プライオリティ(top priority=最優先)に置き、他国と外交すべきだと思う」
−日本で行われる会議に行くと、「韓米同盟が揺らいでいて、韓国は疎外されているのではないか」という声が多く聞かれる。

「近年の日本には外交がうまい首相が3人いる。中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三だ。彼らの共通点はすべての米国との関係を適切に管理したという点だ。日米同盟という土台の上に他国との外交関係を構築していった。日本にも米国との関係がうまくいかなくて困難な時期があった」

−2000年代末の日本の民主党政権の時期か。

「そうだ。中曽根・小泉・安倍首相は米国との関係が悪化し、日本の外交が困難になるのを防ぐため大変気を使った。日本の民主党政権は、過去とは違う対米政策を推進し、困難に陥ったが、文在寅政権はそうしない方がいいと思う」

−トランプ大統領が政権に就いた後、在韓米軍撤退や削減説が出ているが、そうなったら在日米軍の配備にも影響があるか。

「最近の米国の在日・在韓米軍の方針は、基本的に兵力を減らすだろう。在韓米軍が削減されるといっても日本に来る可能性はない。韓国は米国の陸軍が、日本には米国の空軍・海軍・海兵隊が配置されており、運用の性格が違う」

《中略》

−昨年12月に中国・成都で、安倍首相が中国の李克強首相の案内により地方視察をしたことが話題になった。「中・日新時代」に入りつつあるという評もある。

「日本はもともと日中関係が重要だと考えて関係を改善しようとしていた。だが、中国は尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題で拒否の姿勢を見せた。日本が中国の一帯一路(陸と海のシルクロード)について理解を示してから、中国が少しずつ近づいてきた。中国は韓国同様、隣国なので日中関係改善は日本の外交にとって非常に緊要だ」

−中・日関係が改善されたら、北東アジアにどのような影響があるか。

「(北朝鮮の)核・ミサイル、日本人拉致問題の解決に関して、中国の影響力は大きいと思う。日中関係改善により、中国が北朝鮮にもっと介入するようになってほしい」

−体制が違う日本と中国がどこまで協力可能なのかについて、日本国内でも意見の違いがあるのでは。

「日中が同盟関係になることはありえない。だが、体制が違う国と友好的な関係を築くことはできる。ロシアとの関係もそうだ。重要なのは、お互いが相手国を嫌っていないということを明らかにし、相手国をきちんと評価することだ」

《中略》

−今後の中東情勢はどうなると思う?

「今年、米国とイランの戦争の可能性を否定することはできない。トランプ大統領はイラン問題をこのまま放置してはならないという考えが非常に強い」

−トランプ大統領がイラン問題を選挙戦略に活用する可能性もあるか。

「そうだ。トランプ大統領の対イラン強硬策は選挙キャンペーンで有利に作用する可能性がある。今年1年、イランに関して何であれ別のことが発生する可能性が高い」

−日本は、中東地域に自衛隊の派遣を開始したが。

「このように危険な状況であればあるほど、自衛隊は日本の船舶を保護するため行くべきだと思う。それが自衛隊の存在意義ではないだろうか」

東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2020012480044

https://i.imgur.com/glZnIls.jpg

2020/01/26 06:06