警察・放通委が取り締まりに乗り出す

 韓国大統領府(青瓦台)と韓国政府が、新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎)関連の「フェイクニュース」に対する厳正な対応と強い処罰の方針を表明した。歪曲(わいきょく)された情報で不安感が広まることは防がなければならないが、政府の未熟な対応への正当な批判まで「フェイクニュース」としてあおり立て、封じ込めようとしている、との批判も上がっている。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は30日、政府ソウル庁舎で総合点検会議を主宰し「特にフェイクニュースに対する厳正な対応を強調する」として「不信・不安を助長するフェイクニュースの生産・流布は防疫を妨害し、国民の安全を阻害する重大な犯罪行為」「関係部処(省庁に相当)は表現の自由を超えるフェイクニュースに対し、格別な警戒意識を持って断固対処すべき」と指示した。

 青瓦台のハン・ジョンウ副報道官も30日午後のブリーフィングで「歪曲情報や意図的なフェイクニュースは国民に不必要な混乱をもたらし、過度の恐怖を生みかねない」として「メディアは事実に基づいた正確な情報を伝えてほしい」と発言した。

 文大統領の「厳正対応」方針に合わせ、警察や放送通信委員会(放通委)などもフェイクニュース取り締まりに乗り出した。警察は、主要ポータルサイトなどを対象に、疾病関連の根拠なき疑惑の提起、特定の人物の名誉毀損(きそん)などを集中して取り締まる方針を明らかにした。

 放通委は、主なテレビ局やインターネット・ポータルに、関連フェイクニュースの遮断を要請した。放通委の韓相赫(ハン・サンヒョク)委員長は30日、ネイバーとカカオを訪れて正確な情報伝達を要請した。韓委員長は28日にもKBS放送と聯合ニュースTVを訪れ、フェイクニュースへの対応を注文している。放通委によると、新型コロナウイルス関連の案内・告知を詐称してほかのサイトに誘導するスパムメッセージは、30日現在で260件の通報があった。放送通信審議委は、中国の国旗が描かれたまま血が付いているマスクの写真など、インターネット掲示物4件について削除決定を下した。

 しかし、韓国政府がフェイクニュース対処を名分に、政府の未熟な対応や誤った対処を批判する報道すら統制する場合、初期対応の機会を情報統制で逸した中国政府の失敗を後追いすることになりかねない、との懸念も浮上している。大部分の言論統制は、「国家的危機」をその名分として行われてきた。

安俊勇(アン・ジュンヨン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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2020/01/31 11:00