感染病危機対応段階が11年ぶりに「深刻」に格上げされた中、再び「中国人及び中国滞在歴のある外国人の全面入国禁止」主張が頭をもたげている。

日々感染者が急増する不安の中、「少しでも感染の可能性があれば、それを遮断したい」という気持ちになるのも分からなくもない。
しかし、そのような主張に科学的根拠や実効性があるかどうかについては、疑問を抱かざるを得ない。

地域社会における感染拡大への対応に総力を傾けなければならない時期に、
一部でこの問題を過度に政治争点化する姿が見られるのは決して望ましくない。

未来統合党と一部保守メディアは連日「政府の対応が遅れたことで事態が悪化した」とし、
中国全域に対する入国禁止措置の施行を求めている。しかし、根拠が乏しい。

チョン・ウンギョン疾病管理本部長は24日、「海外からの流入事例は31人目の感染が確認されてから、まだ確定された事例がない」とし、
現在感染者の75%が新天地大邱(テグ)教会と清道デナム病院関係者だと明らかにした。

これまで中国国籍の感染者は6人だが、彼らから直接感染したことが確認された事例は1〜2人に過ぎない。
一部では、米国の全面的な入国制限措置を取り上げているが、たとえ我々が米国と同じ時期(韓国時間で2月3日)に実施したしても、その6人のうち1人だけを遮断できたわけだ。

さらに、イタリアやイランなどのケースからも分かるように、「全面制限」措置を取った国でも感染経路不明の患者が最近増えている。

厳密に見れば、中国人や中国滞在歴のある外国人と韓国国内で感染者が急増したことの関連性は、まだ立証されていない。
今明らかなのは、新天地教会やデナム病院の事例からも分かるように、非常に密集した空間における人との接触や健康脆弱層の間の感染力が非常に高いという点であろう。

予想される危険に最大限比例するよう、措置のレベルを調節するのが感染症対応における原則であり、
その点で「全面的な入国制限」のような国家間の措置は状況を冷静に判断して慎重を期さなければならない。

世界保健機関(WHO)が感染病への対応で国境閉鎖や移動制限に反対する立場を取ってきたのも、実効性が得られないだけではなく、
人種主義のような現象を招きかねないと見ているからだ。

エボラとSARS(重症急性呼吸器症候群)が急速に広がっていた際に行われた移動制限は、ごく短期間だけ効果があるだけで、
全体の発病数には大きな差がなかったという国外研究結果もある。

中国から毎日「特別入国手続き」を経て入国する人々の中には韓国人もかなり含まれている。
検疫や自宅隔離、自己診断の徹底は、いくら強調しても足りないが、特定の国や地域よりも「(基礎疾患の有無など)人の特性」によって
危険度を判断するのが合理的であるという専門家らの声に耳を傾ける必要がある。

韓国人に対して隔離や入国拒否をする国が増えている中、過剰な措置はそれらの国々に正当性を与え、我々自らを孤立させることになりかねない。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00035851-hankyoreh-kr