4月15日に投開票された国会議員選挙で、文在寅大統領率いる与党「共に民主党(以下、民主党)」が圧勝した。革新系である民主党が国会で過半数以上の議席を獲得するのは盧武鉉政権時代以来16年ぶり。ひとつの政党が国会の5分の3を超える議席を占めるのは1987年の民主化以来、初めてという歴史的勝利だった。もちろん、背景には文政権の新型コロナウイルスへの迅速な対応があると多くのメディアが分析している。

 私も韓国籍を持つ友人と一緒に期日前投票所に行ってきた。4月に入ってから、街のあちこちで行列を見ることがあり、「社会的距離の確保」が求められているのに、いったい何に並んでいるんだろう?と疑問に思っていたのだが、この日それがわかった。投票を待つ人たちだったのだ。

 友人曰く、韓国では期日前投票所が街のあちこちにあり、自分の居住区外でも投票できるという。日本で期日前投票に行くと高齢者の姿を多く見かける印象があったが、ソウルの期日前投票所には若者たちの姿も目立ち、友達同士やカップルで来ている人も多かった。その結果、投票率は66%超。日本で7割近い投票率なんて、残念ながら想像もつかない。

 こちらに来てから、日本の大学に留学経験のある20代の韓国人男性と話す機会があった。彼は食事をしながら、自然に次の選挙で自分がどんな政党を支持するのか、韓国の抱える政治的課題について話した上で、寂しそうに「日本人はあまり政治の話をしないですね」と言っていた。

 韓国ではすでにポストコロナを見据えた動きが始まっている。韓国政府は5月6日にも現在実施している公共施設の閉鎖などを含む「社会的距離の確保」を解除する方向で調整しており、4月23日には生活の正常化に向けた今後2年間のガイドライン草案を発表した。草案によると、今後もオンライン会議や在宅勤務、フレックスタイム制などを強く推奨し、公共交通機関ではマスクを着用するべきだとしている。

 日本で緊急事態宣言後の構想が語られるようになるのはいつなのだろうか。そしてそれはどんなものになるのか。心配と不安しかない。

(林羊子)