世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスがまん延する状況下で何を食べるべきかをまとめた栄養アドバイスを、ホームページで公表している。免疫力を上げて感染症に強い体をつくるため、バランスのとれた食事を推奨している。

 栄養と水分は「vital(命にかかわるほど大事)」。そんな警告でアドバイスは始まる。ヒトには病原体に抵抗する免疫の仕組みが備わっている。新型コロナウイルスに特効薬はないが、免疫力をアップすることで感染を予防し、感染しても重症化のリスクを下げる効果が期待できる。

 WHOが推奨する“免疫力アップのレシピ”は英語だが、日本スポーツ栄養協会の公式情報サイト「スポーツ栄養Web」が翻訳している。それによると、「毎日、新鮮で加工されていない食品を食べる」との項目で、「果物、野菜、豆類、ナッツ類、全粒穀物、および肉、魚、卵、牛乳などの動物性食品を摂取する」「野菜や果物には手を加えすぎない(重要なビタミンが失われてしまうことがあるため)」などと細かに指定している。

 未加工食品には「抗酸化物質」と呼ばれる栄養素が豊富に含まれている。体内にある活性酸素は、大量に生成されると老化や免疫機能の低下などの悪さをする。活性酸素を取り除いたり、働きを抑制するのが抗酸化物質だ。ポリフェノールやビタミンCが代表格で、コロナ撃退の心強い武器になる。

 WHOは「毎日、十分な水を飲む」とも提言する。「血液中の栄養素や諸成分を運搬し、体温を調整し、老廃物の除去などにかかわり、関節のクッション機能にも関与する」。「毎日8〜10カップの水を飲むようにする」と助言する。

 同協会の鈴木志保子理事長(54、スポーツ栄養学)は「外出自粛などで生活リズムが崩れる中、体重が増減しやすい。食べる量にも気を付けて」と指摘。「人は化学反応の連続で生きており、免疫もその1つ。そのために過不足なく栄養を取り入れたい」。朝起床して排尿後の体重が維持される食事の量を、適量の目安にすることを薦める。

https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2020050402000125.html
中日新聞 2020年5月4日

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WHOが文書に添えたイラスト。「生もの」と水の摂取を呼び掛ける(WHOのホームページより)