◇致命率高いMERSと結合すれば…

カナダのマクマスター大学、ウォータールー大学、トロント大学、米ハーバード大学、日本の沖縄科学技術大学院大学研究所などに所属する専門家らは最近論文事前公開サイトのSSRNに生物情報学的分析結果を盛り込んだ論文を上げ、再結合ウイルス誕生の可能性を警告した。

MERSの場合、サウジアラビアでは最大37%、2015年の韓国でも20%の致死率を記録した。

新型コロナウイルスは中国で致死率1.38%、韓国では2.38%で、MERSに比べると低い。

これに対しMERSの場合、再生産数(感染者1人が感染させた人の数)が0.9人なのに対し、新型コロナウイルスは3.15人と暫定集計されている。

一般的に致死率が高まれば感染力は落ちるが、世界的に540万人の感染者が発生し34万5000人が死亡した状況で新型コロナウイルスの致死率が少しでもさらに高まるならば犠牲ははるかに大きくなるほかない。

◇2つのウイルスが同じ細胞に入れば…

研究チームはまず、サウジアラビアで新型コロナウイルスとMERSが同時に流行している状況を懸念する。

ラクダを中間宿主にするMERSは2012年に初めて出現し、サウジアラビアを中心に4〜12月に季節的流行を繰り返している。

昨年12月から3月までサウジアラビアでは最小34人の患者が発生し、13人以上が死亡した。

新型コロナウイルスも深刻だ。25日現在サウジアラビアでは7万2560人の新型コロナウイルス感染者が報告された。

サウジアラビアでは1人が2つのウイルスに同時に感染する事例も発生しかねないという話だ。

研究チームは人の腎臓と大腸、小腸の上皮細胞の細胞膜には新型コロナウイルスの浸透経路(受容体)のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体とMERSウイルス浸透経路であるジペプチジルペプチダーゼ4(DPP−4)酵素受容体が同時に存在すると指摘した。

2つの受容体が多い小腸細胞では2つのウイルスが同時に感染する可能性が大きい。

呼吸器細胞でも同時感染の可能性は存在する。

ひとまず2つのウイルスが特定の細胞で複製を始めると、それぞれのRNA鎖がいくつか作られる。

作られたRNA鎖のひとつが蛋白質の殻の中に入りウイルス粒子として結合されるが、この過程でRNA鎖の一部が他のウイルスRNAに変わる状況が発生することがある。

すなわち、一部分は新型コロナウイルスRNA、残りの部分はMERSウイルスRNAで構成される再結合現象が現れる可能性がある。

実際に2つのウイルスが遺伝的に90%以上一致する区域を持つORF1ab(RNA重合酵素)遺伝子内で再結合が起きる可能性が高いものと研究チームは分析した。

◇サウジアラビアだけの問題か

もちろん再結合RNAとそこで作られたキメラ蛋白質がウイルス増殖過程で自らの役割をするかは未知数だ。

変形された蛋白質によりウイルスが増殖できないこともある。むしろ感染力が落ち致死率も低くなる結合が現れる可能性もある。

問題はキメラ蛋白質が役割をしっかりとしながらも、変形により新型コロナウイルスやMERS治療剤の攻撃から抜け出せる結合が現れれば最悪だ。

さらに再結合ウイルスが誕生する場合、新型コロナウイルスやMERSに一度感染した人も抗体が役割を発揮できず再感染の危険に置かれかねない。

研究チームは「多様な分析結果は新型コロナウイルスとMERSウイルスの再結合が起きる可能性があることを提示している。サウジアラビアのような危険地域では新型コロナウイルス患者とMERS患者を分離入院させなければならず、患者の試料から再結合ウイルスを診断するなどモニタリングを強化しなければならない」と指摘した。

だがひとまず再結合ウイルスが出現するならばあっという間に世界の他の地域に拡散する可能性もあるだけに、中東地域だけでなく世界がこの問題を見守る必要がある。

過去のSARSの時と2015年の韓国のMERS事例、そして現在の新型コロナウイルスもそのように感染が拡大した。

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版 2020.05.26 10:22
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