【中韓】 習近平氏の「戦友」発言は韓国を心底からバカにしている表現/黒田勝弘論説委員 [08/16]
 最近、韓国を訪れた習近平・国家主席の韓国の立場をまったく無視した歴史認識は韓国にとっ
ては深刻だ。その後、さすがにメディアなどで中国批判が出ており、韓・中歴史戦争再燃を予感さ
せている。

 習近平は韓国滞在中、ソウル大学で講演した。理工系の講堂だったが講演の中身はもっぱら歴
史だった。彼は中国の歴史を回顧しながらこれまで中国と韓国はいかに仲がよかったかを強調し
た。明の時代の16世紀には日本軍(秀吉軍)の“侵略”に対し共に戦い、清の時代の19世紀(日
清戦争の前)にも共に肩を並べ日本と戦ったではないか、とぶったのだ。

 習近平は朴槿恵大統領との出会いではこれまでも韓国を「親戚」と持ち上げてきたが、今回はさ
らに踏み込んで、歴史的には「いつも仲良し」で時には日本相手に“戦友”だったとまで言ったのだ。

 明と清の時代に中国が朝鮮半島に出兵し一時、日本と戦ったことは事実ではあるが、だからと
いって中韓はいつも仲良しで肩を並べる戦友だったと言われたのでは、歴史歪曲もはなはだしい。
この堂々たるウソにそれまで親中ムードを演出してきた韓国マスコミも、さすが反論に乗り出して
いる。

 韓中の歴史戦争はこれまでは古代史が舞台で、紀元前後から7世紀にかけ中朝国境地帯から
旧満州にかけて勢力を張った高句麗の帰属を巡ってモメてきた。韓国は自分たちのルーツといい、
中国は自らの一地方政権で中国史だと主張し対立が続いている。この高句麗だって当時、中国
の隋や唐としょっちゅう戦争していたので決して「仲良し」の歴史ではない。