フィリピンで4歳の女児が司教に性器を「触られたりキスされたりした」と訴えた事件が国内外の注目を集めている。アジア最大のカトリック国で、聖職者による性的虐待が裁判にまで持ちこまれるのは異例であり、フランシスコ教皇の対応も試されているからだ。

静かな街の教会の中でいったい何が起きていたのか──米紙「ワシントン・ポスト」が少女の両親や教会関係者への取材をもとに“女児性的虐待スキャンダル”の全貌に迫る。

少女はおびえながら「犯人」を指さした

長い髪をポニーテールにしたその5歳の少女は、狭く薄暗い法廷に足を踏み入れた。そんな場所を訪れるのは彼女にとって初めてだ。母親にしがみつき、目の前に並んだ数十人の顔を見渡す。

そして少女は、ストライプのシャツを着て、はげた頭の上に眼鏡を乗せた男を指さした。彼女はおびえているようで、男の名前は口にしなかった。

アロン・ブエナコサ司祭が、自分を性的に虐待した犯人だ──少女がおずおずとしながらも特定したことから、ローマカトリック教会司祭を相手取った、フィリピンでは異例の裁判が昨年9月に始まった。

フィリピンの静かな街カディスで起きたこの事件で、カトリック世界に蔓延する性的虐待事件に「総力戦」で臨むと誓った教皇フランシスコの姿勢も試されることになる。

欧米のローマカトリック教会はこの数十年間、性的虐待とそのもみ消し工作の歴史の精算に追われてきた。しかし、アフリカやアジア、教皇の出身地である南米などの地では、公判に持ち込まれたケースははるかに少ない。

こうした地域から今後、次々と告発の声が上がれば、バチカンはどう対処するのか。その対処法いかんで、フランシスコという教皇に対する見方が決定づけられ、彼の「本気度」が見えてくるだろう。

アジア最大のカトリック国フィリピンでのこの裁判で、その答えが示されるかもしれない。
フィリピンでは国民の約10人に8人がカトリック教徒で、信仰は教育から国政に至るまであらゆる面に浸透している。政治家らは歴史的に聖職者からの支持に頼り、選挙運動中は信心深さを示し、信者らの反発を恐れて中絶などの話題を避けてきた。

フィリピンの聖職者による性的虐待の告発は一世代以上前から報告されているが、罰せられたケースはほとんどない。告発すれば、官僚主義、政府機関の腐敗、そして手続きのひどく遅い裁判制度と闘わなければならないのだ。

裁判にかけられる事件はほんの一握りにすぎず、聖職者が罪を認めたとしても、司法は依然として彼らに有利だ。これまでに児童虐待やその他の性的不正行為で有罪となった聖職者はいない。

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ソース
Yahoo!Japanニュース/COURRIER JAPON
https://news.yahoo.co.jp/articles/d696701bcc42b5b05e0ad6b2386517e17fe1ec18