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▲ 先月5日の午後、ソウル 汝矣島(ヨウィド)にある共に民主党本部前で行われたイースター航空労働者決議大会で、参加者がイースター航空運航再開と未払い賃金の支給を求めている。
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ソル名節(旧正月)に家族たちが集まった席で、秋頃に海外旅行に行こうという話が出た。 オモニ(お母さん)の七旬(70歳)を記念してのことだ。グアム、ベトナム、シンガポールなどが候補に挙がった。そこで、「近場の日本はどうかな」という提案を加えた。すると小学生の甥が間髪入れずに言ってきた。「三寸(おじさん)、このタイミングで日本だって?」と言いながら、「 そこに(日本に)行ってきたと言えば “ワンッタ(いじめ・村八分)”を受ける」 。当時はいわゆる『ノ・チェペン(NO JAPAN)』運動が始まってから、半年が過ぎた時点だった。

先週、済州航空がイースター航空に『ノーディール(買収撤回)』を宣言したという知らせを聞き、突然その時のことを思い出した。売却が取り消しとなったイースター航空は、いきなり破産の危機に追い込まれた。すでに、全ての航空機の運航が停止していることに加えて完全な資本蚕食(債務超過)状態のため、自力で生き残る道を探すことは困難と見られる。

イースター航空はどうしてこうなったのだろうか。大株主である共に民主党のイ・サンヂク議員一族の経営失敗と、無責任な運営に最も大きな原因があるという点には異見がないだろう。低コスト航空会社(LCC)を9社も許可し、過当競争をもたらした国土交通部も責任から逃れられない。ここでもう一つ指摘すべきことがある。企業の実績だけをみれば、イースター航空の翼が折れた決定的なきっかけは、2019年7月に火が付き始めた日本不買運動だったという点である。

2007年に設立されたイースター航空は2013年に最初の営業利益を出した後、2018年まで小幅ながらも黒字を維持していた。売り上げも2013年の2,543億ウォンから、2018年には5,663億ウォンと2倍以上に増えた。収益性が悪化し続けて資本蚕食も増えたが、いずれにセヨ直ちに破産を心配する状態ではなかった。

だがしかし2019年、いきなり738億ウォンの営業損失を記録する。国際線の30%以上を占めていた日本が一瞬にして、『行ってはいけない場所』になってしまったからである。2018年に合計753万人に達していた日本出国者は、2019年の下半期には157万人に急減した。他のLCC業者も昨年の第3四半期から全て赤字に後退した。財務事情が最も悪かったイースター航空は、昨年9月に非常経営体制に突入し、最終的には売りに出されることとなった。

もちろん、不買運動が間違っているという話ではない。触媒となった日本の輸出規制措置は明らかに間違いであり、この措置の出発点である強制労働事件の判決に対する日本の抗議も非難を浴びて当然である。しかし正当な消費行為であっても、それによってデタラメな被害を受ける企業や国民が生まれかねない。そのような点まで考慮して成熟した対応を誘導し、被害企業に対する対策まで講じるのは政府の役割である。

ソース:韓国日報(韓国語)
https://www.hankookilbo.com/News/Read/A2020072710220004931