■ 「強制動員被害者に賠償」命じた最高裁の判決後 韓日政府、妥協不可の平行線たどる
■ 強制労働で死亡した中国人被害者と企業側で和解成立した「花岡事件」の解決策を参考にすべき

「キルさん、韓国では現金化ではなく、その後の和解措置には関心がないですね」

先月25日に「コロナ危機と韓日関係」をテーマに開かれた両国の元老会議を見守っていた日本人記者が声をかけてきた。韓国内の日本人特派員の中で、強制動員被害問題について最も力を入れて記事を書いてきた彼の話を聞いて、しばらく複雑な感情に浸らざるを得なかった。
 
2018年10月、日本企業に強制動員被害者への賠償を命じた韓国最高裁(大法院)の判決後、韓国国内の議論はすでに高齢の原告のために「早く日本企業の資産を現金化すべき」という方向と、韓日関係を考え、両国政府が「外交協議を急がなければならない」という方向に分かれている。現在、この問題を解決するために韓日当局が協議を続けているとはいうものの、意見の隔たりを埋められず、これといった進展があるようには見えない。

韓国政府は、“政治的リスク”の大きい妥協案よりも、現金化後の対策作りに没頭している様子である一方、日本は最高裁の判決に関して「韓国が解決すべき」という態度を崩していない。
 
韓日間の問題解決のために長年努力してきた内田雅敏弁護士は、テレビ電話による元老会議で「歴史問題は単純に最高裁の判決を履行したからといって解決できるものではない」とし、自身が関与した日本企業と中国人被害者の間の「和解」事例を紹介した。

最もよく知られた事例は「花岡事件」をめぐる中国と日本の和解だ。太平洋戦争末期、秋田県の花岡鉱山に配置された中国人労働者986人は、劣悪な環境で過酷な労働に苦しみ、暴動を起こした。殺人的な労働と暴動の後、拷問で死亡した人は全体の42%にのぼる418人だ。

それから半世紀が経った1989年、中国人生存者と遺族は、当時鉱山を経営していた鹿島組(現鹿島建設)を相手取って損害賠償を請求した。
 
中国人原告らの長い戦いは2000年11月、日本の裁判所を通じて「和解」という実を結んだ。日本企業は「中国人が受けた受難は強制連行・強制労働に起因する歴史的事実」であることを認めた。

日本の自治体である大館市は、1985年から追悼式を行ってきた。中国の生存者と遺族らも出席し、現地に建てられた「中国殉難烈士慰霊之碑」の前に献花する。2010年4月には、惨事を記憶するための平和記念館も開館した。
 
韓国の原告たちにとって最も良い解決策は何だろうか。外交を放棄し、現在の状況を放置すれば、韓国の司法手続きによって現金化が進められる。原告らはお金は受け取れるかもしれないが、日本企業の謝罪は受けることができず、韓日の和解の可能性は消える。内田弁護士が「それで問題が解決したと言えるのか」と問いかけたのもそのためだ。
 
市民団体によると、被告企業はこれまで「最高裁の判決が出れば、それに従う」という意思を繰り返し伝えてきたという。結局、これを遮る日本政府に対し、粘り強い外交交渉を重ねるしかない。外交を放棄して得られるのは、互いの心に残る不信と憎悪だけだ。

2020-08-04 09:09
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37382.html