■光復節75周年のあいさつを読み解いてみると…

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、光復節(日本の植民地支配からの解放)75周年記念式典のあいさつで、日本に向かって「我が政府はいつでも対座する準備ができている」と述べ、対話と協力を強調した。

韓日両国が対立する日本軍慰安婦問題や韓国に対する輸出規制、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)については言及しなかった。

文大統領は2017年の就任以降、光復節に克日と親日清算というスローガンを掲げてきたが、今回はひときわ抑えたメッセージを出した。過去最悪と言われている韓日関係に対する国内外の懸念を考慮し、対話の余地を残したと見られる。

文大統領は同日、個人の幸福追求権を規定した憲法第10条に言及し、これを実現することが現政権の目標だと言った。

■克日の代わりに対話メッセージ

文大統領は同記念式典のあいさつで、強制徴用問題を解決するための対話に焦点を合わせた。文大統領は「政府は、被害者たちが同意できる円満な解決策を日本政府と協議してきたし、今も協議の門戸を開いている」と述べた。

大法院は、強制徴用被害者4人が日本の徴用企業を相手取り起こした損害賠償請求訴訟で、1965年の韓日請求権協定の有効性を認めながらも、個人の賠償請求権は消滅していないという判決を2018年に出している。

文大統領は「政府は司法府の判決を尊重する」「三権分立に基づいた民主主義、人類の普遍的価値と国際法の原則を守っていくため、日本と共に努力する」とも言った。

日本はこれまで、韓国大法院の徴用賠償判決に対して「国際法違反」と主張している。原論的な水準ではあるが、文大統領が日本の主張にも耳を傾ける姿を見せたものだ。

文大統領は日本が輸出規制を始めた昨年の光復節には、「誰も揺るがすことができない国」などの言葉で克日を強調した。

抑えた対日メッセージが出た背景には、韓国が11月に予定されている韓中日首脳会議の議長国を務めることや、韓国の主要7カ国首脳会議(G7サミット)参加問題などもあるものと見られる。

■「北朝鮮」という表現なしに人道的協力だけを強調

文大統領はこれまでの光復節のあいさつで強調してきた南北関係の復元に関するメッセージは減らした。韓半島(朝鮮半島)関連の内容は約900字で、2017年(約2600字)の3分の1程度だった。

また、「北朝鮮」という言葉は一度も使用しなかった。昨年9回、2017年に14回言及していたのとは対照的だ。元統一部関係者は「北朝鮮が共同連絡事務所を爆破し、南側を『敵』と規定して関係断絶を宣言した状況なので、トーンダウンが必要だったのだろう」と分析している。

文大統領は「南北」という単語を8回使い、人道的分野の協力を提案した。

文大統領は「南北協力こそ南北の双方にとって核・軍事力依存から脱することができる最高の安全保障政策」「保健・医療や森林協力、農業技術や品種開発に対する共同研究で新型コロナウイルス時代の新たな安保状況においてさらに緊密に協力しよう」と述べた。

だが、北朝鮮水害支援には言及しなかった。韓国統一部が数回、対北朝鮮支援の意向を明らかにしたが、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が13日、「どんな外部的支援も許さず、国境を固く閉ざせ」と拒否したことが影響したものと見られる。

2020/08/17 11:57/朝鮮日報日本語版
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