日本、派閥密約で首相に選出…官邸運営は透明でオープン 首相は国会に今年160時間出席…文大統領、青瓦台の閉鎖的な居心地の良さにどっぷり?

 「幕が上がった途端に劇が終わってしまった」。安倍晋三首相の辞任発表直後、菅義偉官房長官が後任に事実上決定したことに対する日本のマスコミの評価だ。自民党を支配する細田派など5派閥のトップたちは密室会合で早くから菅氏を次期首相に決めた。日本経済新聞が評した通り、「電光石火」だった。

 10日間にわたり永田町で行われたことは、日本の政治が自民党が発足した1955年のままであることを示している。派閥主義・密室政治は相変わらずだ。次期首相決定の過程で、国民の世論や民主主義は重要でなかった。14日の自民党総裁選挙、16日の国会における総理大臣選出は要式行為といっても過言ではない。私的な集まりで会う日本の知識人の多くはこれを恥じている。

 だからと言って、日本の政治から学ぶことがないわけではない。安倍首相の「輸出規制」という蛮行とは別として、この機会に青瓦台の役割をする首相官邸に注目して見る必要がある。

 日本の政治の核である官邸は青瓦台とは異なり、記者たちが首相に接近して観察するシステムが定着している。首相と記者たちは米ホワイトハウスのような建物を使用しているが、それよりももっと開放的だ。首相は5階で、記者たちは1階で仕事をしている。各報道機関の記者たちは3階のロビーに自由に上がることができる。ここで、官邸を出入りする首相に質問し、訪問者に注視する。日本の新聞が毎日、誰が首相と会ったか把握し、報道できるのもこのためだ。

 安倍首相辞任の原因となった健康問題に最初に気づいたのは、首相を毎日見守る「ぶら下がり」記者たちだった。ある放送局は「安倍首相のロビーを歩く速さが4月の平均18.24秒から8月には20.83秒と2秒以上遅くなった」と報じた。別の報道機関は、安倍首相がエレベーターに乗るために方向を変える時、壁に左手を置いて支えるのを「体調異常の兆候」と分析した。このように「監視」されていた安倍首相はとうとう潰瘍(かいよう)性大腸炎の再発を公表して辞任するしかなかった。

 このようなシステムは、韓国でも2017年5月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任後から可能になるはずだった。文大統領が「大統領執務室を光化門政府庁舎に移転する」という公約を破棄していなかったらの話だ。東京で勤務していた元外交官の両国比較は核心を突いている。「日本の官邸出入り記者が毎日首相に会えないとしたら、サボっているか、首相が外遊中かだ。韓国の青瓦台出入り記者は特に何かなければ大統領に会うことはない」。

 安倍首相は今年、辞任発表を含めて合計13回、公式記者会見を行った。約20日間に1回の割合だ。文大統領は今年1月以降、一度も会見をしていない。今月8日に野党院内代表が言った「前大統領を『不通(意思疎通できない)』と責めたが、今まで記者会見を何回なさったのか」という批判は、文大統領が自ら招いたものだ。

 安倍首相が今年初めから5月まで定期国会に出席して答弁した時間も160時間に達する。菅「次期首相」が「日本の首相は国会に出る時間が全世界で圧倒的に長い」と不満を訴えたのは決して大げさなことではない。通常国会が開かれている時、安倍首相が野党議員と1対1で討論する姿はうんざりするほどテレビに出ていた。野党議員は安倍首相に「鯛は頭から腐る」と侮辱した様子もそのまま生中継された。

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領をはじめとする韓国大統領の悲劇は、すべて青瓦台の閉鎖性と不透明性に端を発する。

「ろうそく大統領」は違うと断言したが、非公開・意思疎通不能・秘密主義の黒い幕はむしろ以前よりも厚くなった。全国民が嫌う安倍首相よりも、青瓦台の運営がうまくいかなかったのはなぜなのか。文大統領も前任者のように、外部と完全に遮断された青瓦台の居心地の良さにはまってしまったのではないのか。任期も末期に差し掛かるにつれて「男・朴槿恵」と呼ばれるようになった彼が、前任者の末路をたどらないよう祈るばかりだ。
東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2020/09/13 15:29
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