韓国の美容整形企業は中国などでも積極的に整形をアピール(C)共同通信社

 19〜29歳の韓国人女性の31%が整形をしている――。

 韓国でこんな調査結果が発表されたのが、2015年。1994年調査の5%から、20年で6倍以上の増加だ。さらに同年代のうち整形をしていない女性の44%が、手術を検討したことがあるという。全年代の女性では14%、男性も同じく1%が整形をしたと答えた。

 整形に対する心理的ハードルが低い韓国では、トーク番組などで整形した事実をあっけらかんと告白する芸能人が少なくない。昔はタブーとされていたが、そんな風潮が変わったのは2000年代に入ってからだ。その転換点をつくったのが、女優キム・ナムジュ。彼女は01年に「罪でもないのになんで隠すんですか」と堂々と肯定して好評を呼び、整形を認める流れに先鞭をつけた。

「パスポートの写真と顔が違うので、空港の入国審査で止められた」という体験談でスタジオ中を笑わせたのは、女優のホン・スア。14年からしばらく中国で活動していた彼女は、17年に出演した韓国のトーク番組で整形を告白。中国でのキャスティングに限界を感じていた際、現地の関係者から勧められて手術を決意したという。

「高校1年の時に鼻を手術した」と告白したのは、女性グループMOMOLANDのジュイ。彼女も17年にトーク番組で、「オーディションでは整形したことをだまっていた」「デビュー前のほうがかわいかったと言われることもある」などの整形話を披露した。後に所属事務所から鼻の整形を勧められ、すでに手術していることを打ち明けたそうだ。

 なかには整形のビフォー&アフターをプロモーションに利用した女性グループもいる。12年デビューのSIXBOMBがそうだ。彼女たちは「1億ウオン(約900万円)かけて整形する」と宣言し、まず17年2月に「かわいくなるところです Before」と題したシングル曲とMVを発表。そして翌月、続編「かわいくなるところです After」で整形後の姿を披露した。実際に手術をしたのは、前年の12月だったという。

 ちなみに1億ウオンはメンバー4人分の金額だ。だがMVが低予算だったせいもあってか、さほどビフォー&アフターの変身ぶりを印象づけられないままフェードアウト。さすがにやりすぎとの非難も寄せられていたという。

 男性では元ZE:Aのグァンヒのほか、SUPER JUNIORのキュヒョンなどが整形を認めているアイドルとして有名。オープンな姿勢がかえって好感をもたらす風潮は、日本も参考にしていいのかも知れない。 =つづく

▽高月靖(たかつき・やすし) 1965年、神戸市生まれ。ノンフィクションライター。韓国事情や性事情など各種社会事象を扱う。主著に「在日異人伝」「キム・イル 大木金太郎伝説」「独島中毒」「ロリコン」「南極1号伝説」などがある。

日刊ゲンダイDIGITAL 10/10(土) 9:06
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