9月19日午前1時ごろ、高層マンションが密集した釜山市水営区の空に子どもの体ほどの大きさの物体が飛び交った。ドローン(小型無人機)だった。誰が操縦しているのか分からないドローンは数十分間にわたり高層マンション2棟を上下に繰り返し飛行したかと思うと、ある住戸の窓の前でぴたりと止まった。灯りがついており、カーテンが開いている部屋だった。ドローンには数十倍のズーム撮影が可能な高性能カメラが搭載されていた。価格が100万ウォンを超える高級ドローンだった。ドローンはカメラのレンズをズームインし、室内で男女が夜の営みに及ぶ場面を撮影した。しかし、午前3時ごろ、機械異常でプロペラが止まって墜落した。

 「何かが落ち、おかしな音がした」という住民の通報を受けて出動した警察は壊れたドローンを発見した。当時男性が現場に近づいたが、警察の姿を見ると逃走した。ドローンに内蔵されたカメラからは男女10組の生々しい性行為の動画が見つかったという。警察は現場周辺の監視カメラを分析し、逃走した男性を今月4日に逮捕した。平凡な40代の会社員の男だったという。

 男は警察の取り調べに対し、「ドローンを紛失しただけであり、故意に性行為の映像を撮影したわけではない」と容疑を否認しているという。男は自分が住む周辺のマンションの屋上に登り、ドローンを飛ばして操縦していたという。当時屋上には男の知人も一緒にいたことが分かった。

 釜山市水営区には有名な海雲台地区と同様に高層マンションが林立している。窓側に他の高層マンションや高層ビルがない場合、住人は外からのぞかれる可能性はないと考え、カーテンを閉めずに自由に生活しているケースが多い。新手の「ドローン犯罪」はそこに狙いをつけた。

 ドローンは今や誰でも購入できる製品になった。小型のドローンは3万−4万ウォン、カメラを搭載できるレベルのドローンも10万−20万ウォンで購入できる。国土交通部に届け出があったドローンは昨年8月現在で1万21台に達する。しかし、専門家ではない一般人が主に使用する重さ12キログラム以下のドローンには届け出義務がなく、韓国国内で実際に使われているドローンは数十万台に達する可能性が高い。

 警察関係者は「今回犯行に使われた高級ドローンは騒音が少なく、夜間にマンションの窓の外を飛び回っても気づきにくい。これからは高層マンションだからといって、カーテンを閉めなくていいという考えは捨てなければならない時代になった」と話した。

 釜山地方検察庁釜山東部支庁は6日、容疑者の男について、性暴力処罰特例法違反(カメラなどを利用した撮影)の疑いで逮捕状を裁判所に請求。7日に逮捕状が交付された。

朝鮮日報日本語版 10/11(日) 6:00
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(写真:朝鮮日報日本語版)
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