「外資の土地取得を監視」菅政権が新法検討 安全保障上重要な国境離島や自衛隊関連施設、原発など 佐々木類氏「これまでほぼ野放し…最優先の取り組みを」
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菅義偉政権は、自衛隊基地周辺や国境離島など、安全保障上、重要な土地を外国資本が取得することに対し、監視強化を目的とした新法を制定する方針を固めたという。夕刊フジではこれまで、北海道の水源地や森林、九州の自衛隊基地周辺の土地が、中国や韓国などの外国資本に購入されている現状を報告してきた。「悪しき前例主義を改め、改革を全力で進める」という菅首相がついに動き出したのか。

 新法制定方針は、読売新聞が9日朝刊で報じた。同紙によると、新法では、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)の起点となる国境離島や自衛隊関連施設、原発などを「安保上の重要施設」に指定し、周辺の土地を調査対象とする方向。事前に、土地買収計画の届け出を求めることも検討するという。

 北海道では、2006年から18年までに、累計で2725ヘクタール(=東京ドーム約580個分)の土地が買収され、中国資本とシンガポール資本が86%を占めた。政府専用機を運用し、駐機場となっている航空自衛隊千歳基地周辺でも、外国資本の土地購入が確認されている。

 北海道の洞爺湖から東の苫小牧に連なる一帯は、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として建設に動き出している、北極海経由の航路「氷上シルクロード」の中継拠点に適しているとされる。昨年は中国の王岐山国家副主席、一昨年は李克強首相が洞爺湖周辺を視察している。

長崎県対馬市の海上自衛隊対馬防衛隊近くでも、韓国資本が土地を購入してホテルなどの宿泊施設を建設している。韓国内では、不法占拠している島根県・竹島(韓国名・独島)だけでなく、「対馬も韓国のものだ」という許しがたい意見が吹聴されている。

 日本には1925(大正14)年に制定した外国人土地法があり、国防上必要な地区で政令により取得を禁止・制限できる。ただ、肝心の政令が定められておらず、時代も大きく変化している。英国も日本と同様、外資のみを対象とした規制はないが、公的機関には土地収用権が認められ、国防上危険を判断した場合、すぐ強制収容が可能となっている。

 著書『静かなる日本侵略』(ハート出版)が話題となっている産経新聞論説副委員長の佐々木類氏は「日本ではこれまで、外国資本による土地取得がほぼ野放しだった。世界貿易機関(WTO)は、国籍による土地売買の差別をしないと協定があるが、『国防上の安全』を理由にした取得制限は例外的に認められている。日本で相次ぐ外資による大規模な土地取得は、安全保障上の問題だということだ。菅政権が、最優先で新法制定に取り組むことを期待したい」と指摘した。

夕刊フジ公式サイト 2020.10.9
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/201009/pol2010090003-n1.html