■4カ月間で90カ国の首脳に電話・親書…WTO事務局長選挙で支持訴えたがムダに

世界貿易機関(WTO)事務局長を決める最終選挙で、韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長の当落のカギを握る欧州連合(EU)加盟27カ国が、同氏のライバル候補であるナイジェリア元財務相のオコンジョイウェアラ氏を支持することで合意したと26日(現地時間)、報じられた。

「韓国人初のWTO事務局長」誕生の可能性に暗雲が垂れ込めている。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれまで約90カ国と電話首脳会談をしたり親書を送ったりして「兪明希支持」を訴えるなど、総力戦を繰り広げてきた。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も外交チャンネルを通じて支持を訴えた。

しかし、選挙終盤に日本が韓国に対する「ネガティブ・キャンペーン(落選運動)」に乗り出し、形勢が不利になってきている。外交関係者の間では「政府が韓日関係を管理さえしていれば、このような状況にはならなかっただろう」という声が上がっている。

外信や複数の消息筋によると、EU加盟27カ国の大使たちは同日、ベルギーのブリュッセルで支持候補を決定するための会議を2回開いた。1回目の会議では一部の東欧・バルト地域加盟国が兪明希氏支持の意向を明らかにした。

しかし、これらの国々は2回目の会議で大勢に従ってオコンジョイウェアラ氏を支持することにしたという。EUはWTO事務局長を選出する際、団結のため伝統的に支持候補を統一している。

EUではどんな事案でも、二大加盟国であるドイツとフランスの意見が一致した場合、これを覆すのは難しい。ある消息筋によると、今回のWTO事務局長選出に関して、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど影響力が強い国々は早くからオコンジョイウェアラ氏を支持してきたという。

現在までの情勢を総合すると、WTO会員国164カ国のうち、半数の82カ国を上回る96カ国前後がオコンジョイウェアラ氏を支持するものと思われる。

政府は、「第2の潘基文(パン・ギムン=前国連事務総長)の奇跡」を生むとして、WTO事務局長選挙に外交資源を総動員してきた。初の韓国人WTO事務局長輩出により国の格を高め、国際通商外交力を一層強化する契機にしようという構想だった。

文大統領は27日、カナダのジャスティン・トルドー首相との電話会談を含めて合計14回、電話首脳会談を行い、73カ国に親書を送った。

一部では「今回の選挙に動員した外交力を北朝鮮の非核化や韓米防衛費分担金交渉、韓日徴用問題解決に使っていたら、かなりの成果を挙げられていただろう」と指摘する声が上がっているほどだ。

選挙序盤に劣勢だった兪明希氏は、青瓦台の全面的な支援に支えられ、最終的に決選にまで進出した。ところが、WTOで影響力が強い日本が最近になって「兪明希反対運動」を展開、雰囲気が変わったと伝えられている。

オコンジョイウェアラ氏は親中性向を持っており、日本も好ましくは思っていないと言われている。それでも日本が兪明希氏に背を向けたのは、韓日関係と無関係ではないとみられている。韓国人がWTO事務局長を務めれば、輸出規制など韓国との貿易紛争で不利になるとの懸念が日本政府内に広がっているということだ。

日本のこのような立場は、今回のEUの支持候補決定にも一部影響を及ぼしたとの分析がある。外交消息筋は「政府は、欧州の一部の国とアフリカの特殊な関係は『常数』と見て、東欧諸国を集中的に攻略してきた。

しかし、中国に続き日本までオコンジョイウェアラ氏を支持しているため、東欧側も全員一致が難しい候補(兪明希氏)にこれ以上こだわれなくなってきた」と語った。このため、「兪明希氏が落選した場合、しばらく小康状態だった政府の対日強硬路線が復活するだろう」との見通しも出ている。

2020/10/28 08:03
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