世界の関心が集中した米大統領選挙が終わり、ついにホワイトハウスの新しい主が決定した。トランプ大統領に対する審判になるという当初の予想とは違い、開票序盤に善戦しながら再選の可能性も見えたが、郵便投票まで反映されるとバイデン元副大統領が勝者となった。

トランプ大統領が開票中断訴訟、票の再集計など選挙結果に従わない考えを明らかにしているが、この状況を覆すには力不足とみられる。これからのバイデン時代を迎え、韓国はどう対応すればよいのだろうか。

急がれるのは北朝鮮の非核化に対する韓米の目標と戦略を再確立することだ。2020年の米民主党政綱には「同盟国との対北朝鮮外交を通じて北朝鮮の核の脅威を抑止し、非核化の目標を進展させていく」と書かれている。

バイデン氏はテレビ討論でトランプ大統領が「悪党」金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に正当性を付与したと非難し、核能力の縮小に同意する条件で金委員長に会うことができると述べた。米朝首脳会談を排除することはないが、北朝鮮の非核化措置が必ず前提になるべきということだ。

トランプ大統領の再選後にまたリアリティーショー首脳会談と非核化スモールディールがあることを内心期待していた文在寅(ムン・ジェイン)政権としては力が抜けるだろう。とはいえ、性急に非核化が抜けた終戦宣言の推進のような提案でワシントンを説得しようとすれば、葛藤は避けられない。

北朝鮮が米国の新政権発足前後に挑発してきた前例を踏襲し、新型ICBMやSLBMを発射する場合、米国は直ちに安保理追加制裁に着手するはずだが、韓国政府はその時にも平和ばかり叫ぶのだろうか。

非核化に背を向けた対北朝鮮オールイン政策は北朝鮮にも受け入れられず、バイデン政権にもひじ鉄砲を食らうしかない。今からでも米国と同じ舟に乗って北朝鮮の非核化に向かって進む必要がある。

韓米同盟は葛藤を解消し、信頼を回復できる良い機会を迎えた。バイデン氏は韓国メディアへの寄稿で、自分は在韓米軍撤収に言及して韓国を恐喝するような行為はしないと公言した。

合理的なレベルで複数年の防衛費分担金協定(SMA)を早期に妥結し、在韓米軍の安定的な駐留環境をつくることが求められる。戦時作戦権(戦作権)の転換は北朝鮮の核・ミサイル対応と韓米連合作戦遂行のための韓国軍の能力が整った後に実現しなければいけない。

バイデン政権の考えも同じはずであり、この政権の任期内に転換するという目標は立てないのがよい。北朝鮮のミサイルの脅威から国民を保護するのは政府の責務だ。

ちょうど中国とした約束は拘束力がないと述べただけに、米国と協議してTHAAD(高高度防衛ミサイル)追加配備とパトリオットミサイルとの連動を通じてミサイル防衛網を拡充する必要がある。

バイデン政権でも米中の競争は続くはずだ。ただ、米国単独ではなく同盟・友好国との連携を通じてだ。

バイデン候補が就任初年度に開催すると述べた「民主主義首脳会議(Summit for Democracy)」は民主国家の連帯として包装されているが、事実上、広範囲の対中国戦線のスタートになり得る。

韓国政府はトランプ政権が主に主張するインド太平洋戦略への参加もためらい、中国ファーウェイ(華為技術)の装備を使用するなというクリーンネットワークも民間企業が決めることだとして抜けた。

また、日米豪印で構成されたクアッド(Quad)プラスへの参加提案についても難色を示したが、特に大きな問題なく通過した。しかし同盟を尊重して支援する代わりに同盟の義務も重視するバイデン政権でもこれが可能だろうか。これ以上右往左往する時期はもう過ぎている。

バイデン政権の発足をきっかけに韓米関係をリセットしなければいけない。その場しのぎの対応を続ければ、韓米同盟の弱化、米中の間での孤立を自ら招くことになるだろう。

金ホン均(キム・ホンギュン)/リセットコリア諮問委員/元外交部韓半島平和交渉本部長

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中央日報日本語版 2020.11.09 13:22
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