2020年12月06日 19時30分00秒

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と大韓民国(韓国)は北緯38度線を基準とする軍事境界線が設けられています。政治的・経済的に困窮した北朝鮮の国民の中には、見つかると命を落とすリスクを承知した上で、この軍事境界線を越えて韓国へ逃げようとする脱北者が後を絶たない中、高さ3メートルのフェンスを跳び越えて脱北した体操選手が現れたと報じられています。

‘N. Korean who jumped border fence into South was gymnast’
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20201124000854

North Korean Former Gymnast Hops Fence To Defect to South Korea : NPR
https://www.npr.org/2020/11/25/938737873/north-korean-former-gymnast-fled-to-south-korea-by-jumping-fence

2020年11月4日10時頃、朝鮮半島東海岸の国境から数km以内の地点にある前哨基地の区域内で、20代後半の男性が韓国軍に身柄を拘束されました。男性は11月3日の夜19時頃に非武装地帯を通って北朝鮮から韓国にやってきたとのこと。

しかし、韓国と北朝鮮の間には、3メートル近いフェンスが建てられています。また、北朝鮮側は脱北者を逃さないために、非武装地帯の周辺に地雷を設置し、フェンスには触れると反応するセンサーが取り付けられているそうです。

地元メディアのコリア・ヘラルドによれば、男性は自分が元体操選手であることを主張しており、「フェンスに触れずに飛び越えた」と証言しているとのこと。男性は自身の主張を証明するため、2度にわたってフェンスと同じ高さをジャンプしてみせたそうです。

韓国軍の調査では、男が飛び越えたというフェンスには押し下げられたようにへしゃげた跡はあったものの、改造されたり切断されたりしたようには見えなかったとのこと。さらなる調査で、台風による損傷が原因でフェンスのセンサーが動作しなかった可能性が指摘されています。

当局は男性の体重が非常に軽かったことと、体操選手としての経験が脱北を成功させたのではないかとみています。

https://gigazine.net/news/20201206-north-korean-gymnast-defect/