韓日両国は未来指向的関係を言いながらも歴史のくびきから抜け出せずにいる。

両国関係について第2期アベ政権は就任後、初の施政演説で「基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国」と規定し、2014年、同じ規定を維持した。しかし、2015年には「最も重要な隣国」だけ残り、2016年と2017年には「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」になった。2018年には「未来指向的協力関係」とだけ言及され、2019年には最初から言葉がなかった。2020年には「本来基本価値を共有する国」に変わった。

日本政府が勝手に下した規定にいちいち気を遣う必要はないが、私たちは日本に旧怨があり、地理的条件のために無視して生きることもできず、堪え難い隣国であることは間違いない。

韓日間の国力差が顕著に縮まり、民主主義や言論の自由の面ではかえって韓国が進んでおり、韓日関係の障害物だった安倍総理が退陣した今が両国関係を改善する良い機会だ。ムン・ジェイン大統領の就任祝い通話で新任のスガ総理も「両国はお互いに大変重要な隣国であり韓日協力が重要だ」と明らかにした。

去る11月3日、米国大統領選挙でバイデン候補が当選し、韓日間で関係改善の動きが本格化した。11月初め、パク・チウォン国家情報院長に続き韓日議員連盟議員団が日本を訪問して協力再開を模索した。まだこれという解決策は用意できなかったが関係正常化の努力が続いている。このような努力が続くのは最近、急変する国際情勢の中で以下の三種類の理由で悪化した韓日関係を再び縫合し協力を再開する必要があるからだ。

最初に、東京夏季五輪から北京冬季五輪につながるスポーツの祭典を契機に両国関係を回復し、東アジアの平和基盤を作るためである。国連はオリンピック前7日間からパラリンピック終了後7日間まで「オリンピック休戦」を宣言して戦争やテロなど過激な暴力の自制を決議している。特に今回は平昌(ピョンチャン)五輪、東京五輪、北京五輪を順に開催する韓・日・中3ヶ国の協力を強化するという内容も含まれた。

二番目、東アジアの平和を脅かす北朝鮮核問題の解決に協力するためである。北朝鮮の核問題は米国や中国だけでは解決しにくい複雑な問題だ。日本が6者会談で議題以外の要求をして非核化交渉を難しくしたことがあるが、韓半島の非核化が韓日共同安保の目標という点で協力する必要性がある。

三番目、韓日協力を通じて東アジアの平和を脅かす米中葛藤の緩衝の役割を果たすことである。韓日関係が悪化すれば対米求愛競争にまきこまれて米中対立構図に引きずられる危険がある。韓日両国が緩衝的役割を果たさず「同盟の関与ジレンマ」に陥れば東アジアの平和と繁栄を約束できない。

韓日協力関係を復元するために葛藤の直接原因になった日本軍慰安婦と強制動員被害者の二つの問題をどうするか整理して越えなければならない。二つの問題は「被害者中心主義」に陥ったせいで、これまで政府次元の妥協が何度かあったにもかかわらず絶えず再生産されてきた問題だ。その点で政府ではなく韓日両国の市民社会元老が直接仲裁の役割に出る必要がある。

昨年2月、日本市民知識人266人が2010年2月の「菅直人談話」に基づいて日本の度重なる謝罪と反省に基づき、韓日関係を復元しようという声明を発表した。「菅直人談話」は併合の不法性を明示せず、最終的な解決法として限界はあるが、植民地支配の強制性およびそれにともなう損害と痛みに対する謝罪と反省を込めた点で一歩進んだものだった。

最大の懸案である強制動員被害者問題の場合、「菅直人談話」の精神に基づいて日本戦犯企業が強制動員された韓国労働者の被害に対して謝罪する妥協案が考えられる。そして大法院の判決にともなう現金化問題を本来の民事訴訟領域に戻すことによって韓日両国間の外交問題からひとまず抜け出すようにしなければならないだろう。民事訴訟次元の当事者間問題は両国政府が自国民・企業を相手に解決を模索する方案だ。

現在の韓日間歴史問題を解くことができる明快な解決法は探すのが難しい。しかし、急変する情勢の中でさらに大きな問題の解決のために両国政界が合意し、市民社会の知識人が出るならば当面の葛藤をある程度縫合できるはずだ。

最善ではないとしても次善を通じて韓日協力の道を探してみよう。

チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院諮問研究委員
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ソース:京郷新聞(韓国語)[チョ・ソンニョルの新韓半島ビジョン]堪え難い隣、日本と生きていくこと
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?art_id=202012080300025