>>1の続き。

今月14日の国会本会議で韓国与党・共に民主党を中心に対北ビラ禁止法案が可決してから1週間が過ぎたが、米国をはじめとする国際社会からこの法案を非難する声が徐々に高まっている。

ロバート・キング元国務省北朝鮮人権特使はAPPG NKが先日主催した聴聞会において「対北ビラ禁止法は米国で支持を得られていない」とした上で「韓国の文在寅大統領は法案への署名拒否を検討すべきだ」と述べた。

オーストラリアで最高裁裁判官を務め、国連の「北朝鮮における人権に関する調査委員会(COI)」の委員長だったマイケル・カービー氏は「米国人が強調し続けているのは、言論・出版・集会の自由を保障した修正憲法第1条だ」として「ビラ禁止法のような措置は、米国のバイデン政権の政策と衝突を起こしかねない」と懸念を示した。

これに対して民主党はこの日、報道官名義のブリーフィングで「対北ビラ散布規制は大韓民国国民の生命と安全を守るための最低限の装置だ」「米国政界の一部から出ている偏狭な主張に対しては深い遺憾を表明する」とコメントした。

「南北関係の特殊性を全く理解できていない発言」「同盟国に対する礼儀ではない」「米国の対北ビラ後援金が正しく使われているかをまずはチェックせよ」などの反論も出た。

今回の法案を巡って米国では「文在寅政権における民主主義」を根本から疑う声も出始めていることから、民主党は神経質な反応を示しているのだ。

これに先立ち韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官も米CNNテレビの番組に出演した際「表現の自由は絶対的なものではない」との考えを示した。

民主的な価値を外交の最優先原則とするバイデン政権の発足を前に、人権問題が韓米対立の雷管として浮上した形だ。

米カトリック大学政治学科のアンドリュー・ヨ教授は米政府系ラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」のインタビューに「米国、特に議会の反応を見たところ、本当に悪い状況に進んでいる」と述べた。

米国では今月11日、議会内超党派の「トム・ラントス人権委員会」で委員長を務めるクリス・スミス連邦下院議員(共和党)を皮切りに、マイケル・マコール議員(共和党)、ジェラルド・コネリー議員(民主党)も法案の修正を要求するなど批判に加わった。

米ヘリテージ財団のオリビア・イノス研究員は米国の経済・経営専門誌フォーブスへの寄稿で「米国の新政権は改正案に対する反対の意向を伝えるべきだ」と主張した。

このような中で米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は「ジェイク・サリバン国家安保補佐官内定者がすでに言及したウイグルのイスラム教徒弾圧や香港問題に対し、韓国政府は完璧に沈黙している」「バイデンが選択を強要した場合、韓国はD10(民主主義国家協議体)のような多国間連合体から疎外される可能性があり、これは韓国にとって損害だ」との見方を示した。

チャ氏は韓国が「クアッド(米国が主導する米国、日本、インド、オーストラリアによる地域安保協力体)」や中国のIT企業を排除するクリーンネットワークへの立場を留保していることにも言及した。

>>おわり。