渋谷11.7%増、銀座11.9%増、池袋21.8%増−−。12月27日午後10時の東京都内の主な繁華街での「通行量」を1週間前と比較した数字だ。28日には全国の主な繁華街95カ所のうち64カ所で通行量が前週を上回ったというデータも発表された。最近日本では携帯電話の位置情報に基づき調べた通行量の増減情報が毎日のように公表されるが、年末を迎え、首都圏でも地方でも人の流れが増えているという話をよく聞く。

 街に出ると皮膚で感じることができる。豊洲など東京都内の野外スケートリンクは半分が人で埋まっている。繁華街のイルミネーション前は自撮りをする人でにぎわっている。韓国ドラマがきっかけで人気を集めたコリアタウン新大久保では予約問い合わせがあまりに多く、予約を受け付けない飲食店も増えている。

 クリスマス当日、日比谷公園前のレストラン街が混み合っているさまを見るにつけ、ここが1日に3000人の新規感染者が出ている国なのかと疑わしく思った。菅義偉首相は同日、「静かな年末年始」を呼び掛けたが、その後の人出は減らなかった。むしろ連休を迎え、空港まで混み合い始めた。

どこに行ってもマスク、消毒剤が目に付く点を除けば、例年と変わりがない。感染状況が改善しているわけでもないのに通行量が増えている理由は何か。長期間の「外出自粛」で抑え込まれ、「もう限界だ」と人々が飛び出してきたという主張がある。生協が実施したコロナへの対応に関する世論調査によれば、「友人・知人と会う」「外食」「日帰り旅行」などを控えているとの回答はそれぞれ40%台前半(11月)まで低下した。7月に比べ20ポイント以上低下した格好だ。

ワクチンの出現がそうしたムードに拍車をかけている。「トンネルの出口が見える」という期待感が広がっているのだ。「自分もワクチン接種を受けられるか」と心配する人はいない。それよりも、「必ず接種を受けなければならないのか」といったことが話の種だ。ワクチンが十分にあるからこそできる余裕の心配だ。日本は1人当たり2−3回分のワクチンを確保している。

 日本政府もワクチンに全てを賭けることにしたようだ。菅首相は「ワクチンがコロナ対策の決定的手段だ」とし、ワクチンでコロナを克服し、経済も以前の状態を取り戻すと発言した。首相は2度目の非常事態宣言にも否定的だが、その判断の背景にはワクチンがある。全人口に対するワクチン接種を来年上半期までに終えると言っている。

 海を渡った韓国の年末に聞こえてくるのは「正反対」の内容だ。韓国国民は強圧的な措置をこれまで順守してきたし、年末にもさまざまな自粛令を忠実に守っている。しかし、「災難はじきに収まる」という希望よりも、「ワクチン対応の遅れ」に対する虚脱感を抱いて新年を迎えるムードだ。一部の人にはコロナワクチンが秋夕(中秋節)の贈り物になりそうな状況だ。来年の今ごろには普通の年末年始を送れているだろうか。ふと心配になった。

東京=イ・テドン特派員

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