海上自衛隊と海上保安庁は3月に入り、不審船に共同で対処するための訓練を実施した。九州西方の海空域で船舶を追跡して停止させる手順を確認した。沖縄県・尖閣諸島周辺で中国海警局の船が領海侵入を繰り返しており、不測の事態に備えて連携を強める。

中国が2月に海警局を準軍事組織と位置づける海警法を施行し、日本側は警戒を続けている。

共同訓練には海自から護衛艦や哨戒ヘリコプター、ミサイル艇が、海保から巡視船2隻がそれぞれ参加した。重要施設などに向かう不審船を想定し、情報共有のほか追跡と監視、停船措置の3項目の運用を確かめた。

訓練は1999年から定期的に実施し、今回が18回目となる。

2月の中国公船の領海侵入日数は6日と、月ごとでは4年半ぶりの高水準だった。海警局は日本の海保と同じ海上法執行機関だが、中国の海警法で武器使用が容認され事実上の「第2海軍」だと指摘される。

海保だけで対処が難しい事態が発生すれば、海自に海上警備行動が発令される。山村浩海上幕僚長は2日の記者会見で「東シナ海情勢を踏まえても海保との連携はますます重要になる」と話した。

日本経済新聞 2021年3月7日 18:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE064D20W1A300C2000000/

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不審船への対応を訓練する海自護衛艦(奥)と海保巡視船(3日、九州西方の海域)=海自提供