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原子力研究院と大宇造船に続いてサイバー攻撃
先端レーダーに関する情報が狙われたとの見方も
「KF21の設計図が流出した可能性」「ロケットや衛星関連の情報に対するサイバー攻撃が相次ぐ」

 韓国型戦闘機(KF21)を製造する韓国航空宇宙産業(KAI)から先日のサイバー攻撃によって多くの資料が流出した兆候が確認されたことが30日までに分かった。宇宙発射体や衛星を開発する韓国航空宇宙研究院(航宇研、KARI)も昨年サイバー攻撃を受けていたことが最近になって確認された。今年5月には原子力潜水艦用の小型原子炉開発に関与しているとされる韓国原子力研究院からも資料が流出した。韓国政府と韓国軍のサイバー当局は誰が攻撃を仕掛けたか現在追跡中だが、複数の兆候から北朝鮮の組織である可能性が高いと判断しているようだ。韓国が開発を進めている新型兵器関連の幅広い技術が北朝鮮に狙われているということだ。

 ある韓国政府高官はこの日「原子力研究院と大宇造船海洋のほかにも航宇研やKAIなどが全てサイバー攻撃を受け、多くの情報が流出したようだ」と伝えた。KAIもこの日行った公式の発表を通じ「サイバー攻撃を受けた疑いがあるため6月28日に警察に捜査を依頼した」と明らかにした。

 KAIから軍事機密を含むどれだけの量の重要情報が流出したかはまだ確認されていない。最初の韓国型戦闘機として今年4月に公開されたKF21のほか、次期偵察衛星(425事業)や性能が大幅に向上した次期軍団級無人機、先端AESA(アクティブ電子走査アレイ)レーダーなど新武器関連の情報を北朝鮮は狙っているようだ。国会情報委員会に所属する韓国野党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員は「KAIへのサイバー攻撃が事実であれば、KF21の設計図が流出した可能性が高い」と指摘した。河議員は「とりわけKAIへのサイバー攻撃は原子力研究院と同じ時期に行われたことから、北朝鮮の偵察総局に所属するハッカー集団キムスキー(kimsuky)の犯行である可能性が高い」との見方も示した。

 昨年サイバー攻撃を受けた航宇研は韓国型宇宙発射体など複数の民間ロケットや人工衛星アリランなど、衛星開発を主に担当する韓国科学技術通信部(省に相当)所属の研究機関だ。航宇研は「北朝鮮は新型長距離ロケットや偵察衛星をはじめとするさまざまな衛星を開発するためにサイバー攻撃を行った可能性が高い」と指摘している。人工衛星は北朝鮮よりも韓国の方が開発の進んでいる分野だ。

専門家は北朝鮮によるサイバー攻撃が韓国政府の重要な研究機関や防衛関連企業などに集中的に行われている点に注目している。先日サイバー攻撃を受けたことが確認された政府機関や防衛関連企業は韓国原子力研究院、大宇造船海洋、KAI、航宇研などだ。これらは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が今年1月に言及した原子力潜水艦など新しい兵器の開発と密接な関連がある分野の研究機関や企業だ。朝鮮中央通信は当時「新たな原子力潜水艦の設計と研究が終わり、最終審査の段階にある」と報じていた。

 原子力研究院は国防科学研究所と共に小型原子炉など原子力潜水艦の開発に深く関与しているとされており、昨年サイバー攻撃を受けた大宇造船海洋は韓国型垂直発射機(KVLS)を搭載した新型の3000トン級潜水艦を建造している。

 朝鮮中央通信はさらに「近い将来には軍事偵察衛星を運用して偵察情報を収集する能力を確保し、500キロ前方の目標も精密に偵察できる無人偵察機などの偵察手段を開発するための研究事業を重点的に進めていく」と報じた。KAIは次期偵察衛星や新型無人機など、航宇研は人工衛星や新型の宇宙発射体などの開発を行っている。ある韓国軍筋は「最近になって北朝鮮からの集中的なサイバー攻撃が続いているが、これは金正恩氏が語った新型兵器関連技術などを早期に確保するために行われている側面がありそうだ」との見方を示した。

 複数の国家保安施設が北朝鮮からサイバー攻撃を受け続けていることについては「深刻な問題であり、政府としても積極的に対処すべきだ」との声も高まっている。北朝鮮によるサイバー挑発の再発を阻止するには、何よりも国の次元でサイバー挑発に対処する強い意志を示し、サイバー戦争の能力を強化しなければならないということだ。米国のバイデン大統領も6月16日に行ったロシアのプーチン大統領との会談で「16のサイバー攻撃禁止施設リスト」を提示し、これらに対するサイバー攻撃が行われた場合は報復することを明言した。


ユ・ヨンウォン軍事専門記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2021/07/01 10:25
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