アメリカ政府は、世界各地でIT大手マイクロソフトのメールシステムが狙われたサイバー攻撃などについて「攻撃は中国当局が指示していた」とする報告書をまとめました。アメリカは日本などとともに、中国政府を非難する声明を発表することにしています。

アメリカのNSA=国家安全保障局などは19日「中国政府の支援を受けたサイバー攻撃について」と題する報告書を発表しました。

それによりますと、中国の情報機関「国家安全省」は、これまでに中国のハッカー集団に指示して、アメリカや同盟国に対してサイバー攻撃を繰り返し行い、機密情報を入手したり、身代金要求型のウイルスを使って金銭を要求したりしていたことがわかったということです。

報告書では、政治、経済、軍事関係の官公庁や半導体メーカーなどが狙われたとしたうえで「中国の長期にわたる成長や軍事発展はサイバー攻撃によってもたらされた」と指摘しています。

この中には、ことし3月に明らかになった、IT大手マイクロソフトが提供するメールシステム「エクスチェンジ・サーバー」が狙われ世界各地の自治体や企業に被害を及ぼしたとみられるサイバー攻撃も含まれているということです。

ただ報告書では、いずれも具体的な根拠について示されていません。

アメリカは、日本やEU=ヨーロッパ連合、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、それにNATO=北大西洋条約機構とともに、中国政府を非難する声明を発表することにしています。

アメリカ政府高官によりますと、声明では、中国に対して各国が連携して対応を求めていくことや、サイバー上の安全保障をともに促進していくことが盛り込まれるということで、バイデン大統領は中国に対抗するため、民主主義の価値観を共有する各国との結束を改めて示した形です。

NHKニュース 2021年7月19日 22時43分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20210719/k10013148531000.html?utm_int=news_contents_news-main_002