韓国の8月の経常収支が16カ月連続で黒字を記録した。しかし、代表的な国策シンクタンクである韓国開発研究院(KDI)は長期化するコロナ感染拡大防止措置の影響で景気回復が鈍化していると指摘した。

 韓国銀行が7日発表した国際収支統計(速報値)によると、8月の経常収支は75億1000万ドルの黒字だった。昨年5月以来16カ月連続の黒字を記録した。しかし、内訳を見ると、貿易収支が56億4000万ドルの黒字だったが、前年同月に比べると黒字幅が14億5000万ドル縮小した。輸出よりも輸入の増加幅が大きかったためだ。サービス収支は海上貨物輸送による輸入が大幅に増え、10億ドルの黒字だった。

 しかし、KDIは同日発表した「10月の経済動向」で、「最近対面サービス業の不振で回復の勢いが鈍化した中、世界的な景気の不確実性も高まり、景気の下振れリスクが増大している」と分析した。統計庁によると、8月のサービス業の生産は前月比で0.6%減少した。宿泊・飲食店業(5.0%減)、運輸・倉庫業(1.3%減)、教育サービス業(1.7%減)など対面業種でマイナス幅が大きかった。

 KDIは今年5月にコロナ発生後初めて景気回復傾向が見られるとする景気診断を示して以降、景気回復が続いているとしてきた。9月の経済動向でも「緩やかな景気回復傾向を維持している」としていたが、判断を「景気減速」へと改めた格好だ。

 KDIは製造業の回復がスローダウンする可能性を警告。「半導体を中心に改善の流れが続いているが、最近中間財の需給不安で自動車など一部業種の生産が萎縮し、企業心理指標が悪化するなど下振れリスクが拡大している」と指摘した。また、「世界経済もコロナ再拡大とサプライチェーンの混乱などで景気回復が遅れ、金融市場の変動性が拡大するなど外部条件の改善が鈍化している」と評価した。

金正薫(キム・ジョンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2021/10/08 07:01
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