自衛隊が米軍と海外での活動を展開しようとしている動きをどう見るのか。元内閣官房副長官補の柳澤協二さんに聞いた。

 −防衛省が南西諸島への地対艦・地対空ミサイル部隊の配備を進めている。

 「沖縄を防衛するというより、西太平洋への出口に当たる沖縄を拠点に、中国海軍の動きを制約する意味合いがある。西太平洋の海洋の優位性を巡る米中対立の中、自衛隊の位置付けが国土防衛ではなくなっている」

 −配備は抑止力強化に直結しないのか。

 「離島防衛が名目だが、むしろ想定されているのは台湾有事。西太平洋の軍事的優位に寄与するとの意味で米国の抑止力を補強するだろう。ただそれは日本防衛というより、台湾防衛を念頭に置いた抑止力だ」

 −南西方面の重要性が増す一方で、基地負担が増える懸念もある。

 「騒音などは平時の負担。問題は有事に真っ先に攻撃目標になるリスクを負担していることだ。前線兵力がいる場所がまず攻撃対象になる。抑止が崩れた場合に攻撃を受けるリスクは、現実のものとして考えておかなければならない」

 −中国との戦力差がどんどん開いている。

 「すでに天文学的な違いが生じている。日本が軍事力で中国と対等になろうとするのは持続不可能。軍拡を未来永劫続けるわけにもいかず、戦争に至らせないための政治的・外交的な働き掛けが必要だ」

 −日本に求められる役割は。

 「いざというとき、米中の仲介者になる余地を残すべきだ。米中の戦争はミサイル戦争で、一番被害を受けるのは日本。それを最大の政策目標にしなければならない」

(聞き手=東京報道部・嘉良謙太朗)

沖縄タイムス 2021年12月13日 12:09
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/878165

柳澤協二wiki
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%B3%E6%BE%A4%E5%8D%94%E4%BA%8C