>>316
憲機第二三六五号

今回一進会の発表したる声明書の主謀者は内田良平にして仝人が該書を齎らしたることは蔽ふ可からざるものにして発表後以外にも国民及政府の反対激烈なるため殆んど今日にては其成算に苦み居れりと而して昨日菊池謙譲は内田に対し大要左の如き忠告を与へたりと。

一、今日の事件は時機未だ熟せず一般の反対を受け平和を破壊する而已ならず平地に風波を起すものなれば一進会の指揮は東京に於て之れを為さず一切之れを京城に移し且つ内田等は潔く関係を断ち間接に一進会に援助すべしと
二、各会中声望あるは大韓協会なるを以て、該会に反対すれば到底希望を満し能はざるにより大垣丈夫と協議決定すべしと
右二項の注告を内田は容れ菊池の紹介に拠り大垣と正式の会見をなすことゝなり本日午前十一時より菊池宅に於て会見をなしたりと
明治四十二年十二月七日
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