日本の読売新聞は26日「韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が日本との関係改善に向け動き出した」「最大の鍵は徴用工問題で日本が納得できる解決策を尹政権が提示できるかにかかっている」と報じた。同じ日に産経新聞は「岸田文雄首相は米日首脳会談の際、米国のバイデン大統領に徴用工と慰安婦問題について、これまで韓国が両国の合意を無視した経緯を説明した」と報じた。

 日本は本音と建前が異なる国だ。岸田首相は1カ月前に「日韓関係改善をこれ以上先送りできない」とメディアの前で語っていたが、これを日本式の話法から解釈すれば「関係改善は何としても必要(建前)だが、韓日関係悪化の責任は韓国にあるので、韓国が徴用工問題や慰安婦問題の解決策を持ってこい(本音)」ということだ。

 岸田首相としてはそう考えるのも当然だ。岸田首相は2015年、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権と慰安婦問題で合意する際の実務担当(外相)だった。次の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が国家間の合意を一方的に無視し、反日感情を政治に悪用したとする日本側の主張には一理がある。徴用工への賠償問題も日本なりの論理がある。1965年の韓日協定で解決したにもかかわらず、韓国の裁判所が突然日本企業に賠償を命じる判決を出したというわけだ。条約当事国の韓国政府が動いてほしいという要請はおかしなものではない。

 しかし1週間前に東京で取材した市民活動家のアリミツ氏は首をかしげた。アリミツ氏は「結局は日本が加害者で、韓国は被害者ではないか」「謝罪し許す過程で問題がややこしくなり、その原因を韓国政府が提供したとしても、突然韓国が加害者になるのか」と反問した。裁判・条約・求償権・合意・反日などの言葉を横に置いて見た場合、日本が韓国に対して「先に解決策を提示せよ」と求めている状況の方が問題という指摘だ。

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、中国が軍事力を誇示する今の状況では、民主主義の価値を共有する韓国と日本が関係を正常化すべきである点は正しい。ただし関係改善は両国の双方にとっての利益であり、日本が韓国に与えるプレゼントにはなり得ない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は就任したその日、中国の王岐山・国家副主席よりも先に、就任式に出席した日本の林芳正外相と会った。日本を中国よりも礼遇したのだ。韓国外交部(省に相当)は「来月東京で外相会談を」「両国首脳による会談の早期実現を」と呼びかけているが、日本は腕組みするだけだ。

 1カ月前に鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長は岸田首相に会い「孤掌難鳴(こしょうなんめい)」という言葉を使った。「片手の掌だけでは拍手ができない」という意味だ。バイデン大統領に韓国の前政権による過ちを告げ口するような情熱を傾ける前に、まず韓国と直接会っても良いのではないのか。それをしないのであれば、7月に予定されている参議院選挙で「反韓感情を政治に悪用するのでは」と疑われるかもしれない。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/05/28/2022052880823.html