特に最先端分野、世界ランキングに見る米中韓に立ち遅れの日本の大学

世界の大学ランキングを見ると、日本の立ち後れが目立つ。韓国に比べて著しい差がある。

2023年版で世界のトップ100位以内に入った大学は、日本は5校だ
韓国では、100位以内の大学数は、6校だ

韓国の人口は、日本の2.4分の1だから、人口あたりの上位100校の数は11.6校だ。日本の3倍近いという驚くべき数字になる。
韓国が教育に熱心な国であることはよく知られているが、それは、このような数字によっても確かめることができる。

また、巨額の補助金を出して、台湾の半導体メーカーTSMCの工場を熊本に誘致するが、ここで生産するのは、10年くらい前の技術を用いた半導体だ。こうした補助金をいくら出しても、最先端半導体には追い付かない。

このように、いま考えられている方策では、展望は開けない。

日本の産業を発展させるためには、基礎となる研究開発と専門的人材の育成を行なう必要がある。日本が世界水準に追い付くには、大学での研究教育を根本から組み直すことが不可欠なのだ。

大学教育の状況は、未来を映し出す鏡だ。上で述べたような状況を根本的に改革しない限り、日本に未来は開けない。

野口 悠紀雄(一橋大学名誉教授)