──韓国では、欧州を中心に武器需要が伸びている。その理由と日本への影響は?
韓国の武器輸出が急激に伸びている 韓国のK2戦車
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韓国は2022年1月から11月の武器輸出契約が170億ドル(約2兆4000億円)を突破した。ウクライナ戦争の影響で欧州を中心に武器需要が伸びており、年内には200億ドル(約2兆8000億円)を超えると見込まれている。昨年の輸出契約72億5000万ドル(約1兆60億円)の2.8倍で、いうまでもなく過去最高だ。

【画像】韓国のFA-50軽攻撃機
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■ ポーランドと約2兆円の輸出契約を締結
韓国防衛産業は今年、ポーランドと147億6000万ドル(約2兆470億円)の輸出契約を締結した。K2戦車980両、K9自走砲648門、FA-50軽攻撃機48機、多連装ロケット砲288門などである。
ポーランドはロシアの侵攻を受けたウクライナに戦車を提供するなど積極的な支援を行った穴埋めに米国やドイツの武器購入を検討したが、納入まで時間がかかるという回答を受け、はるかに安い価格と早い納期を提示した韓国と購入契約を結んだ。
K2戦車は韓国が180両を輸出後、800両をポーランドで現地生産し、K9自走砲も韓国が48門を輸出して600門を現地生産する計画だ。
FA-50は韓国宇宙産業(KAI)が2023年半ばまでに12機を納入してパイロット養成学校の設立を支援する。現在、東欧にパイロットの養成学校はなく、多くのパイロットが米国で教育を受けているという。FA-50は米国のF-16戦闘機をベースにKAIがロッキード・マーチン社の技術支援を受けて開発・製造したT-50練習機の派生型で、2013年から運用を開始したが、戦力化した2014年から5年間で7回の機銃故障が発生、空軍が射撃訓練を禁止するなど機銃なしで出動した日数が5年間で331日に達している。
旧ソ連製のミグ29とNATO加盟後に導入したF-16を運用しているポーランドは「FA-50は技術面での効率性が85%」と評価する。ベストではないが及第点という評価だろう。
韓国はこれまでT- 50練習機をインドネシア、フィリピン、タイなどに輸出した。またK9自走砲はフィンランド、インド、ノルウエーが導入しており、オーストラリア、エストニア、エジプトも導入が決まっている。

■ 各国が韓国製を選ぶ理由は3つある
各国が韓国製を選ぶ理由は3つある。価格と納期、米露中との関係だ。一般に武器開発は自国軍の要請で行われる。米軍の要請で開発される米国製武器は質が高いが価格も高い。日本も2014年以降、武器輸出が可能となったが、自衛隊の要請で開発された武器は先端技術が盛り込まれるなど質が高く、生産数が少ないことも相まって高額だ。
米露中との関係は、米国とロシア、米国と中国が対立するなか、主要武器購入国でもある北大西洋条約機構(NATO)関係国がロシアや中国の武器を購入することはもちろんないし、米露中のいずれにも与せず中立な立場を取る国も米国製武器を購入するとロシアや中国との関係が悪化し、ロシア製や中国製を購入すると米国との関係が悪化しかねない。韓国はNATO関係国から見ると米国の同盟国だが、中立国も米露中との関係が悪化する危惧が小さいとみて韓国製が選択されている。

■ ポーランドが韓国製を選んだ最大の理由は納期

ー中略ー

■ 韓国軍の整備計画が遅延すると日本も皺寄せ?
韓国軍の整備計画が遅延すると韓国の防衛はもとより日本も皺寄せを受けかねない。韓国空軍は朴正熙政権時代に導入が始まったF-5を80機運用するが、老朽化が進み、事故が相次いでいる。今年1月、大尉が墜落事故で亡くなるなど2000年以降、15機にトラブルが発生し、16人の空軍パイロットが事故で命を落とした。ある空軍パイロットは「命がけで乗らなくてはならない機種」と話しているという。
また万一、韓国の防衛力が不足する状態で有事が起きると、米国は在日米軍に加えて自衛隊にも支援を求めるだろう。尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が対北朝鮮対策で日米韓の連携を求めており、いざというとき日本が対岸の火事に巻き込まれるおそれがあるのだ。

12/20(火) 18:34配信
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