・米共和党上院院内総務夫人に向かって人種差別発言繰り返す
・沈黙していた当事者、異例のコメント発表でトランプ前大統領批判
・米メディア「アジア系米国人こそ最も急成長している集団なのに…」

ドナルド・トランプ前米大統領のアジア系に対する度を越えた人種差別的発言が米共和党内でも俎上(そじょう)に載せられている。米政治専門メディアのポリティコが25日(現地時間)、報道した。トランプ前大統領はこの数カ月間、ミッチ・マコーネル同党上院院内総務の夫人であるイレーン・チャオ前運輸長官に対し人種差別的な発言を続けてきたが、その程度がますますひどくなるや、攻撃の対象となっているチャオ前長官も異例のコメント発表でトランプ前大統領を批判した。

 台湾出身のチャオ前長官はトランプ前大統領在任時代、ずっと運輸長官を務めていたが、2021年1月6日の米国議会議事堂襲撃事件の翌日辞任した。これに激怒したトランプ前大統領はチャオ前長官に向かって、「マコーネルの頭がおかしい妻」「中国のボス」など人種差別的な言葉をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や演説などで使い続けてきた。トランプ前大統領は昨年9月もチャオ前長官のことを「中国を愛する妻、ココ・チャオ」と人種差別的に嘲弄(ちょうろう)して問題になった。ポリティコは「トランプ陣営の内部でも、チャオ前長官に対するトランプ前大統領の批判が人種差別的であることについて異議を申し立てる人はほとんどいない」「共和党関係者たちは、彼の発言が単なる雑音ではなく、深刻な政治的議論になることをいっそう強く懸念している」と報じた。

 チャオ前長官やマコーネル上院院内総務はこれまでトランプ前大統領の攻撃に沈黙してきた。しかし同日、チャオ前長官はポリティコに声明を出し、「私が幼いころ、一部の人々は私の名前のスペリングをわざと間違えたり、違う発音をしたりした」「アジア系米国人たちは次世代のためにそうした経験を変えようと一生懸命努力してきた」と明らかにした。 これは、アジア系米国人に対するトランプ前大統領の攻撃を遠回しに批判したものと受け止められている。

 ポリティコは「共和党内からは『特に新型コロナウイルスの大流行以降、米国社会においてアジア系米国人は脅威の対象となっている状態だ。トランプ前大統領が繰り返しアジア系を狙って人種差別的攻撃をするのは危険だ』という意見も出ている」と伝えた。とりわけ共和党の一部は「アジア系米国人有権者の共和党支持率に大きな打撃を与えている」と懸念しているという。ポリティコは「世論調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、アジア系米国人は米国で最も急速に増加しつつある投票集団の一つだという」「米国全体の投票資格人口の5.5%を占めており、その数字は増え続けるだろう」と報道した。

 問題は、トランプ前大統領の「反アジア発言」が対象を広げながら繰り返されているということだ。ポリティコは「(過去にも)トランプ前大統領は『バージニア州のグレン・ヤンキン知事の名前は中国人のように聞こえる』と言った」「アジアの指導者たちについて話す時、アジア人の話し方をまねるなど、選挙遊説の場でアジア人のイントネーションを冷笑してきた」と伝えた。トランプ前大統領は現職時代も新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び、その結果、中国などアジア系に対する攻撃の風潮につながった。

 共和党はカリフォルニア州・テキサス州・ネバダ州・アリゾナ州などでアジア系米国人有権者たちの支持を得ようと数百万ドル(数億円)を投資してきたが、「トランプ前大統領のこうした発言は共和党の拡張戦略に役立っていない」とポリティコは報じている。

ワシントン=イ・ミンソク特派員

朝鮮日報日本語版 2023/01/26 11:14
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