【北京=吉永亜希子、バンコク=山村英隆】中国政府は6日、新型コロナウイルスの流行に伴い2020年1月から制限していた海外団体旅行を3年ぶりに解禁した。対象はタイやインドネシアなど20か国に限られ、日本と韓国は含まれていない。中国メディアは、中国人観光客がもたらす経済効果を歓迎する対象国の様子を伝えている。

6日朝、タイの首都バンコクにあるドンムアン空港に中国・広州からの団体客らを乗せた便が到着した。中国共産党機関紙・人民日報(電子版)は、3年ぶりの団体客を「現地の人々が温かく迎えた」と報じた。

タイで大型商業施設などを展開する「ザ・モール・グループ」のボララック・トゥラーポーン氏は「中国は非常に重要な市場。団体客が戻ってくることでタイ旅行業界全体の成長につながる」と期待感を示した。

また、国際的なリゾート地であるインドネシアのバリ島では、中国からの団体客が戻れば、ホテルの稼働率が上がることが見込まれており、ジョコ・ウィドド大統領は1月中旬、歓迎する姿勢を示していた。

中国国内で再開されたツアー商品の販売では、総額60万円近い10日間のニュージーランドツアーが1分で完売した。タイ政府によると、19年にタイを訪れた1100万人超は約5315億バーツ(現レートで約2兆1000億円)の経済効果をもたらしたという。コロナ禍前、旅行者の約4割を占めた団体客は消費意欲が個人客よりも旺盛とされる。

今回、解禁されたのは、カンボジア、エジプト、南アフリカ、ロシアなど主に中国と関係の深い国が多く、団体旅行再開の恩恵をまず受けることとなった。日韓が対象から外れたのは、中国本土からの入国者に対する水際対策を強化していることが影響したとみられ、解禁の時期も未定だ。

読売新聞 2023/02/07 08:00
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230207-OYT1T50026/