〝悪夢の旗立て〟はやらせない。3月の第5回WBCで3大会ぶりの世界一を目指す侍ジャパンだが、絶対に負けられないのが、1次ラウンドで同組の宿敵・韓国だ。〝打倒日本〟に執念を燃やす韓国は過去の2大会で日本戦勝利の直後、マウンドに自国の国旗を突き刺して大騒ぎする暴挙に出た。あれから14年。歴史問題を背景とする反日感情が根強い中、韓国は〝蛮行〟を繰り返すのか。識者が指摘する「ある変化」とは…。

【写真】第1回WBCでマウンドに立てられた太極旗
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 WBCの第1回、第2回大会は日本が制したが、対戦成績は4勝4敗。第3回、第4回はグループ違いと韓国の1次ラウンド敗退で対戦がなく、WBCでは14年ぶりの激突となる。近年の韓国は2019年のプレミア12、21年の東京五輪で日本に敗れているだけに、国の威信をかけて挑んでくるはずだ。

 日本にとって苦い記憶として残るのが、韓国の〝太極旗事件〟だ。第1回大会の2次ラウンドで宿敵日本を下し、歓喜のあまりに東京ドームのマウンドに自国国旗を突き刺して大騒ぎする暴挙に出た。敗者への配慮を欠く蛮行に、イチローが「野球人生でもっとも屈辱的な日」と怒りをあらわにし、海外メディアも「スポーツマンシップがない」と問題行動を非難した。大会前にイチローが「向こう30年、日本には手が出せないな、みたいな感じで勝ちたい」とする大会への意気込みを韓国メディアが挑発ととらえ、敵対心をあおった結果だった。

 懲りない韓国は続く第2回大会でも2次ラウンドで日本に勝利すると、またも狂喜して国旗を立てた。政治色を絡めた横断幕、グラウンドでのラフプレーの類いは他のスポーツでも散見されたが、どれだけ批判されようとも暴走は止まらなかった。今大会はどうなるのか…。

 2008年から2年間、韓国SK(現SSG)でコーチ経験のある本紙評論家の伊勢孝夫氏は「またやる心配はあるね。反日感情は昔よりは少なくなっていると言っても、まだ残っている。日本だけには負けたくない、という気持ちがラフプレーになる」と不安を募らせる。伊勢氏が韓国でコーチを務めていた当時は日本生まれの金星根監督が気遣ってくれたというが、タクシーで遠回りをされたり、スタンドから痛烈な反日ヤジを浴びたこともあった。

「私がいたころは反日が強かった。おじいちゃんが息子に昔の話を伝えてきている。今の選手の親世代はまだ残っていると思う」(伊勢氏)。SKは08年に韓国リーグを制して韓国代表としてアジアシリーズに参加。東京ドームで行われた予選で西武に惜敗した際には「悔しがりようがハンパじゃなかった。試合後は殺気立っていた。それくらい日本戦は特別なものだった」と肌で感じたという。

 いくつもの歴史問題を抱え、戦後最悪と言われた日韓関係もユン・ソギョル大統領になり、昨今は緩和ムードになりつつあるが、伊勢氏は「選手は思っていなくても周りがあおることもある。何かやってくる可能性はある。やらせないためには勝つしかない」と侍戦士にハッパをかけた。

 一方で別の見方もある。京都大学大学院工学研究所教授で、かつて安倍政権時代に内閣官房参与を務めた藤井聡氏(54)は「もちろんまた暴挙となれば遺憾でしかないし、けしからんこと。マナーとして許されることではない」とした上で新たな見解を示した。

「やらないかもしれない。もし旗を立てなかったらバッシングではなく、パッシング(無視)ということ。中国では反日感情が弱くなってきている。それは日本が弱体化して強大な敵ではなくなってきたから。韓国でもそれが起きてくる時期ではないか。アジアにおいて日本軽視が進んでいる。まだまだ対抗意識やコンプレックスはあるが、大国としての存在から変わってきている。やらない可能性はある」

 経済大国でなくなった今の日本に必要以上の屈辱を与えても仕方ない、という感情だ。もはや目くじらを立てる相手ではなくなってきているということか。

 さまざまな思いが交錯する因縁の日韓戦は3月10日。いずれにしろ実力で日本最強を見せつけるしかない。

東スポWEB 2/11(土) 5:16配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b4013b059b30ac2e7a30acf28395200135ea482