中国がスパイ気球を海外に飛ばす以前から国内監視用に使っていた、と米紙ワシントン・ポストが16日(現地時間)に報じた。気球開発を担当してきた中国科学技術院光電技術研究所の過去のプレスリリースや求人広告などを分析したところ、すでに15年前から軍事と民間の両分野で活用可能な気球を開発し、これを国内の治安維持などにも活用してきたという。

 ワシントン・ポストは「中国は特に少数民族の多い新疆西部の住民監視、上海エキスポでのセキュリティ強化、辺境の山岳地域でのテロ対策警備などにさまざまな気球や飛行船を使ってきた」と伝えた。中国が「社会の安全維持」という表向きの理由で使ってきた気球をみると、中国企業や研究機関がこうした国内監視用の道具の技術向上に力を入れており、それが潜在的な海外での使用や戦争に備えるためだったことも分かるという。ワシントン・ポストが分析した。

 ワシントン・ポストが公開した光電技術研究所の過去のプレスリリースを見ると、北京公安局の警察幹部30人が2017年7月に同研究所の気球研究センター「気球中心」を訪問した。光電技術研究所の王宇院長は警察幹部らに「公安の現場でも使える飛行気球技術」について説明し、幹部らはここで開発された気球や動力飛行船などを視察した。研究所はこれらの交流を通じ「公安部門のテロ対策現場における技術面での必要性を把握し、今後研究所の技術面での優位で公安業務に貢献する基盤を整えた」と評した。


 中国は15年前から気球や飛行船を軍事目的で開発してきたようだ。2008年の「北京科技報」は中国科学院光電技術研究所の姜魯華研究員を「著名な気球専門家」と紹介し、インタビュー記事を掲載した。このインタビューで姜研究員は「高空固定飛行船はすでに世界各国が先を争って研究製作している『秘密兵器』になった」と語っている。2018年10月に光電技術研究所は、気球関連実験施設の維持管理、システム統合実験、飛行船の統御などを行う人材を求める求人広告を出したが、そこには「北京、内モンゴル自治区、新疆、チベット、青海省、山東省、海南省など」が実験の場所と記載されていた。中でも内モンゴル自治区、新疆、チベット、青海省は少数民族地域だ。

 光電技術研究所は2010年、中国電子科技集団公司と協力し「気球保安院」を立ち上げた。中国電子科技集団公司は中国軍との関係が深いことを理由に米国の制裁リストに名前が上がっている。高画質、赤外線、超分光カメラが設置されたこの気球は7日にわたり上海万博現場上空に固定されていた。2014年にはこの会社が製造した気球に高画質赤外線カメラが搭載され新疆北部のチューリップ祭り上空に飛ばされた。さらに2017年には別の国営企業である中国航空工業集団公司が製造した気球がテロ対策の警備目的で湖北省上空に飛ばされた。

ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2023/02/18 10:35
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/02/18/2023021880015.html