北朝鮮による拉致被害者の家族会と支援組織「救う会」は26日、都内で合同会議を開いた。親世代が存命のうちに全被害者の即時一括帰国が実現するのを条件に、「日本政府が北朝鮮に人道支援を行うことに反対しない」とする新たな運動方針をまとめた。3回目となる金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記に向けたメッセージでも同様に触れた。

 会議には9家族14人が参加した。昨年10月の集会で岸田文雄首相が「拉致問題は時間的制約のある人権問題」と発言したのを受け、核・ミサイル問題と切り離し、人道支援をてこに解決が図られるよう提案。政府には全員の一括帰国と、そのための日朝首脳会談を引き続き求めるとした。米バイデン政権に会談実現の支援を働きかけるため、家族会・救う会が5月に訪米することも記した。

 出席した市川修一さん=失踪当時(23)=の兄健一さん(77)=鹿屋市輝北=は取材に「進展が見えず時間だけが過ぎる。政府には全員帰国させるため、あらゆる手だてを講じ、知恵を絞ってほしい」と訴えた。

 増元るみ子さん=当時(24)=の弟照明さん(67)=東京=は「20年もの間、状況が動かず家族はいら立ち焦っている。政府には被害者を帰せ、帰せとメッセージを出し続けてもらいたい」と語った。

 横田めぐみさん=当時(13)=の弟で家族会代表の拓也さん(54)は会議の冒頭で「あきらめることなく一括帰国の声を世論に訴え続け、関心の火が消えないよう行動し続けることが大切だ」と述べた。

南日本新聞 2023/02/27 07:03
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