ハンギョレ新聞 登録:2023-03-28 09:48

 日本政府の福島原発汚染水の海洋放出が秒読みに入り、韓国の水産業界の懸念が高まっている。
太平洋沿岸国である米国と国際原子力機関(IAEA)も日本政府の方針をかばう状況で、韓日関係改善に必死な韓国政府まで緩い態度を取っているためだ。

 27日の本紙の取材を総合すると、済州島(チェジュド)や南海(ナムヘ)など日本と接する水域の漁業者たちは、汚染水放出反対集会を計画するなど強く反対している。
済州島の水産業界は「汚染水放出で済州の水産業界が被ることになる被害額は4483億ウォンと推定される」とし「これは済州地域の水産物の生産額9121億ウォンの49.4%にもなる規模」だと明らかにした。
韓国の養殖業売上額の60%以上を占める南海岸の漁業者も9日、糾弾集会を開き、韓国政府の強い対応を求めた。

 現地の漁業者の反発にもかかわらず、韓国の代表的な水産団体は意外にも静かだ。日本政府を糾弾し、政府の強い対応を求めた昨年とは全く違う雰囲気だ。
韓日関係改善を最優先の外交目標に設定した政府が、汚染水放出に対しても一歩引いた態度を示しているからだ。韓国水産業経営人中央連合会のキム・ソンホ会長は、
最近の本紙の電話取材で「すでに日本がこれを承認して放出を防ぐことができない状況に至り、海流上の汚染水が一番最初に到着する米国などでも反対する動きがないため、
私たちが先に積極的に乗り出すのは難しい」と話した。

 水協中央会のイム・ジュンテク前元会長も「(最近の水産団体長らとの懇談会で)汚染水を放出したら、我々が先制的に放射能検査を実施し、
水産物の安全性を広報しなければならないという話だけが交わされた」とし「汚染水放出が水産物の安全には大きな問題を起こさないというので、ひとまず見守るべきではないかという雰囲気だ」と伝えた。
イム前会長は今月24日に水協中央会長の任期を終えた。韓国水産貿易協会のペ・ギイル会長も先月24日の定期総会で「水産団体が汚染水放出に強く反対すれば、それがブーメランになって返ってくる。
汚染水問題については専門家が話すべきであり、(我々が先に乗り出せば)韓国の水産物消費が減る」と述べ、言及を控えた方がいいという意見を明らかにした。

 主な水産団体の反応の変化に、現場の水産業従事者たちは不満を吐露する。
仁川地域のある韓国水産産業総連合会の会員は「昨年12月の臨時総会で2023年事業計画に『福島原発汚染水放出阻止』を明文化した」とし、「突然、今になって尻尾を下げる理由が理解できない」と強く不服を唱えた。
実際、同協会は汚染水海洋放出阻止活動と関連して2千万ウォンの予算を立てた。仁川地域の他の会員たちも「水産団体の役員たちが突然、日本政府の論理に歩調を合わせはじめている。
この調子では、今後の被害をそのまま韓国国民が被ることになるだろう」と警告した。

 日本政府は、今年6月までに福島の事故原発の敷地に保管中の汚染水を海岸に運ぶ配管工事を終えた後、汚染水を海に捨てる計画だ。
韓国海洋科学技術院と韓国原子力研究院が先月発表したシミュレーション結果によれば、福島原発汚染水は放出後3~4年たって韓国海域に到達することになる。
イ・スンウク、イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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