尹政府、ウクライナに「殺傷力のある兵器は支援しない」方針を示したが…
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 韓国政府はウクライナに非殺傷軍需物資の支援と人道支援は行う一方、殺傷力のある兵器の支援は行わないという公式立場を何度も示してきた。
しかし8日付で報道された、米国の情報機関がウクライナ兵器支援に関する韓国政府の内部議論を傍受した内容によると、殺傷力のある兵器の支援の可否をめぐり韓国政府がかなり苦心していたことが分かった。

 米国メディアの報道によると、韓国政府は米国が韓国から提供された砲弾を自国を経てウクライナに「迂回供給」する可能性について内部的に議論した。
韓国政府は、ジョー・バイデン米大統領が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に砲弾を供給するよう圧力をかけるのではないかと懸念していたという。

 昨年2月にウクライナ戦争が勃発して以来、韓国政府は「殺傷力のある兵器の支援は行わない」方針を維持している。
尹錫悦政権発足前の昨年4月、韓国とウクライナの国防相による電話会談で、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防長官は韓国にヘリコプターや飛行機を撃墜する対空兵器体系の支援を要請した。

 しかし、ソ・ウク国防長官(当時)は、「北朝鮮の脅威に備える態勢を維持するためには(兵器の支援は)難しい」としてこれを拒否した。
同年10月、尹錫悦大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「韓国がウクライナに兵器を提供するならば、ロ韓関係は破綻するだろう」と述べたことについて、
「韓国政府はウクライナに殺傷力のある兵器を直接支援したことはない」と述べた。

 にもかかわらず、韓国政府が迂回支援する方式でウクライナに兵器を支援する可能性は取りざたされてきた。

 昨年11月、国防部は米国と155ミリ砲弾の輸出協議を進めていると発表し、これは米国がウクライナ支援のために自国内の砲弾の在庫が足りなくなっているためだと説明した。
当時、国防部は「米国が最終使用者という前提のもと、砲弾を提供する」とし、これまでの政府方針には変わりがないと述べた。
しかし、米国に輸出する砲弾が実際にはウクライナに送られるだろうとし、これは事実上の迂回支援だという分析も出た。
これに関して、大統領室の主要関係者は9日、米中央情報局(CIA)がウクライナに対する殺傷力のある兵器支援に関して韓国など同盟国を傍受した情況があるというニューヨーク・タイムズ紙の報道について
「(殺傷力のある兵器を支援しないという)政府の基本立場には変化がない」と述べた。

 こうした中、ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)などは韓国にウクライナへの兵器支援を要請している。
今年2月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は戦争1周年記者会見で、韓国の兵器支援を望んでいると述べた。

 今年1月に訪韓し、殺傷兵器の直接支援を要請したNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長も5日(現地時間)、韓国などが出席した外相会合後の記者会見で、
「NATO同盟が在庫を補充できるよう、韓国が(弾薬の)生産をさらに拡大し供給を増やせば、NATO各国がウクライナに対し持続的に支援することが可能になるだろう」と述べた。

 昨年韓国は、弾薬や銃器、ミサイルなどロシアとの戦闘に直接使われる殺傷力のある兵器ではなく、防毒マスク、防弾チョッキ、テント、毛布、戦闘食糧、医薬品など非殺傷軍需物資をウクライナに支援した。
政府は今年ウクライナ国民のために地雷の除去と電力網の復旧、救急車・医療装備およびインフラ構築など、再建に焦点を置いた人道支援を中心に1億3千万ドル規模の追加支援を決めた。
チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

登録:2023-04-10 06:37 修正:2023-04-10 06:56
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