【ソウル=甲原潤之介】韓国国防省は20日、機関銃や戦車砲に使う弾をポーランドに輸出すると明らかにした。隣国ウクライナを支援しながら防衛力の強化に取り組むポーランドと防衛協力を深める。韓国大統領府高官はウクライナへの直接の軍事支援は「今後のロシアの行動次第だ」と述べた。

韓国はロシアとの摩擦を避けるため、ウクライナに対する直接の軍事支援を控えてきた。ロシアが北朝鮮を積極的に支援する状況を回避する思惑があった。ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、こうした立場をとりにくくなっている。

韓国放送局のSBSによると、ポーランドに輸出する機関銃の銃弾は430万発、戦車の砲弾は5万発にのぼるという。国防省傘下の防衛事業庁の報道官は「最終使用者はポーランドだ」と述べた。まずは兵器の在庫が減る周辺国への供給を助ける形で貢献しようとしている。

ウクライナへの直接支援についても検討を示唆し始めた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は19日配信のロイター通信のインタビューで、民間人への大量攻撃や虐殺、深刻な戦争法違反が認められた場合は「人道支援に固執するのは難しいかもしれない」と語った。

背景には米国の要請がありそうだ。韓国大統領府は20日、尹氏が24日から米国を訪れ、26日にバイデン大統領と首脳会談をすると正式発表した。米国は12年ぶりに韓国大統領を国賓として招き、歓待する。27日には尹氏が米議会で演説もする予定だ。

韓国は会談で、米国が核兵器を含む戦力で同盟国を守る拡大抑止の強化や、軍事情報の共有などで米国の協力を引き出そうとしている。逆に米国は韓国に対し、ウクライナ支援で従来の立場の変更を期待しているとみられる。

ロイターによるとロシア大統領府は19日、尹氏の発言について「戦争介入を意味する」とけん制した。メドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は「北朝鮮が最新のロシア兵器を保有した場合、韓国は何を言うだろうか」と対話アプリに投稿し、対北朝鮮支援を示唆した。

日経新聞 2023年4月20日 21:01
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM206NB0Q3A420C2000000/

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