在日本大韓民国民団(民団)徳島県地方本部(徳島県小松島市)に銃撃をほのめかす文書を送ったとして、脅迫罪に問われた大学生の岩佐法晃(のりあき)被告(40)に対し、徳島地裁は31日、懲役10月、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役10月)の有罪判決を言い渡した。細包(ほそかね)寛敏裁判官は「韓国への偏見にまみれ、自らと異なる思想信条を持つ者に恐怖を与えて排除しようとする独善的で身勝手な犯行だ」と述べた。

 国内で差別や偏見に基づく「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」への規制が定まらない中、検察側は論告で「ヘイトクライムだ」と指摘していた。判決はヘイトの表現は使わなかった。

 判決によると、岩佐被告は2022年9月11日ごろから14日までの間に「反日政策ヲ続ケル様デアレバ、実弾ニ寄ル消化ニヨッテ浄化スル。民族赤報隊」などと書かれた文書を送り、民団の団長らを脅した。

 判決は、岩佐被告には韓国が日本を敵対視しているとの考えがあったとし、「一方的な嫌悪感を増大させた」と指摘。送りつけた文書については「韓国人への差別意識を強くうかがわせる」と評価したうえで、「(民団側は)出自や所属のみによって標的にされ、理不尽な恐怖にさいなまれている。刑事責任は重い」と非難した。

 岩佐被告は公判で起訴内容を認め、「韓国人のアイデンティティーを変革させなければならないと思った」などと述べていた。【井上英介】

毎日新聞 2023/5/31 17:23(最終更新 5/31 17:38)
https://mainichi.jp/articles/20230531/k00/00m/040/236000c

※関連ソース
民団脅迫の男に有罪判決、徳島 「韓国人への差別意識強い」
https://nordot.app/1036531605572879273