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最後に残ったエルピスの諸説編集

パンドラの箱の物語は多分に寓意的である。特に箱に残ったエルピスをどう解釈するかで物語の理解が分かれる。古典ギリシャ語のエルピスは、「予兆」とも「期待」とも「希望」とも訳され得る。英語圏ではエルピスは「Hope」(希望)と呼ばれている。

「エルピス」を「希望」とする説では、数多くの災厄が出てきたが、最後に希望が出て来たので人間は絶望しないで生きる事が出来るとされている。特にバブリオスの物語は、「実際の幸福は逃げ去ったが、いつかは幸福が手に入るという希望が残っている」と解釈することができる。希望が甕の外に出ず、中に閉じ込められたままでは機能しないのではないかという点に関しては、「希望が人間の手元に残った」という解釈が一般的である[2]。甕には穀物やオリーブ油といった善いものを貯蔵する器のイメージと、悪いものを閉じ込める牢獄のイメージがあり、ヘーシオドスはそれらのイメージを同時に使っていると考えられている[4]。

また、甕に災厄が詰まっていたことから、「エルピス」も悪いものだとする解釈もある[4]。災厄は辛いものだが、それが襲い来ることを予め知るのは最も辛いことだとして、エルピスを「予知、悪いことの予期」と解するのである[4]。ただし、「エルピス」という言葉は善いものを予期する際に使われることの方が多い[4]。