2023.7.28(金)李 正宣
天災も人災も政敵のせいにする韓国政治家の「哀しき性」

ー前略ー
・死者多数の豪雨被害は「人災」だった
 6月25日から7月26日まで続いた韓国の梅雨は、その日数こそ平年並みだったが、降水量は648.7ミリと、
1973年に全国観測網が整備されて以降、過去3番目を記録した。
中でも韓国の中央部に位置する忠清北道は平年の3倍以上の大雨に見舞われた。
この忠清北道の清州市五松の地下車道では、川からあふれ出した大量の水があっという間に流れ込み、14人の死者が生じる大事故も起きた。
日本でも大々的に報じられたのでご存じの方も多いだろう。

 異常気象による豪雨災害とはいえ、ここまで大きな被害が出たのは、当局の杜撰な対応に原因があった。
これまで何度も指摘されてきた韓国の安全不感症と安全管理システムの問題点を改めて浮き彫りにした惨事だったと言える。

ー中略ー
・与野党間で批判の応酬
 こうした野党の攻撃に対し、与党「国民の力」と政府は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権の“失政”を強調し、反論している。
今回の豪雨災害の根本的原因は、文在寅政権が進めた「水管理一元化」にあるという主張だ。

 韓国政府では従来、国土部が水量管理、環境部が水質管理を担当してきた。これらの任務は文政権になると環境部に一元化された。
さらに環境団体や市民団体を政策の決定過程に含めたことで、河川整備事業がまともに推進されていなかった、というわけだ。

 今回の事故が発生した美湖川も数年前から浚渫して川底の堆積物を取り除く必要性が高まっており、
忠清北道は河川整備プロジェクトを計画していた。ところが市民団体がこれに反対してきたため、河川整備がストップしていた。

 全国各地で発生した土砂崩れについても、文在寅政権の太陽光政策がその原因にあげられている。
ソーラーパネル設置のため山林をむやみに伐採したことがブーメランになってかえってきたというのが、与党と政府の主張だ。

 尹錫悦大統領も野党攻撃に余念がない。閣議において「利権カルテルの補助金をすべて廃止し、水害復旧に投入する」と発言したが、
利権カルテルとは尹政権が「敵」と考える市民団体を指すと受け止められている。民主党の支持団体を干上がらせる考えなのだろう。

 一方、市民団体と被害者遺族は、国民の力所属のキム・ヨンファン忠清北道知事、国民の力所属のイ・ボムソク清州市長など、
地方自治体責任者を警察に告発した。

 この告発を受けて警察は、重大災害処罰法(事業場で死亡事故が発生した場合、事業主や経営責任者に刑事処罰を科す法案)
による処罰が可能かを調べる一方、惨事の原因と責任究明のための捜査に着手した――。

・分断国家・韓国の「病巣」
 このように、国内からだけでなく海外からも哀悼のメッセージが寄せられる不幸な事故なのに、
韓国政界がそれを契機に醜い政争に突入する光景は、悲しいほどに日常茶飯事的なものだ。
去年のハロウィンで起きた梨泰院惨事や朴槿恵政権時代に起きたセウォル号沈没事件のときにも今回の事故と同様に、
大々的な政争が始まった。

 そして、このような政治的なドロ試合は、事故の根本原因となる社会インフラやシステムを改善するより、
むしろ社会的分裂を煽るのに一役買ってきた。

 2021年、全国経済人連合会(全経連)が、経済協力開発機構(OECD)30カ国を対象に政治、経済、社会分野を総合した
社会的な分裂と対立を数字化した調査によると、韓国の分裂指数はメキシコとイスラエルに次いで世界で3番目に高いという結果が出た。
それほど韓国は政治的分断が激しい国家だ。
ー後略ー

全文はソースから
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76267