北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記がロシアを訪問し、プーチン大統領と首脳会談を行うと報じられている。
それぞれの狙いはなにか。

布石はあった。7月、ロシアのショイグ国防相が、北朝鮮の解放戦争勝利70周年の式典に出席した。
ロシアの国防相としては23年ぶりの北朝鮮訪問だった。何のためかといえば、
当然ながら火砲弾薬を売却するよう頼みに行ったといわれている。

国営タス通信によると、ショイグ氏は9月4日、「北朝鮮との合同軍事演習が検討されている」と発言した。
これは、ロシアと北朝鮮の間で武器取引に関する交渉が進んでいるとのサインだ。

もちろん米政府が警告しているように、このロシアと北朝鮮間の武器取引は、国連安全保障理事会の決議に違反する。
しかし、ロシアには背に腹は代えられぬ事情がある。

一方、プーチン氏と正恩氏の首脳会談については、あるとしても、その具体的な会談場所は明らかになっていない。

米紙ニューヨーク・タイムズは、正恩氏が装甲列車でロシアまで移動する可能性が高いとしつつ、
会談はロシア東岸のウラジオストクで行われる可能性があると報じている。

であれば、移動距離はプーチン氏のほうが長いので、「格上」のプーチン氏が事実上「出向く」形となって、ロシアの窮状が明らかになる。

もっとも、こうした情報が西側諸国に流れたことで、首脳会談は当面流れる可能性もある。
正恩氏としては、完全に売り手市場なので、プーチン氏との首脳会談が流れても問題はないだろう。

人工衛星や原子力潜水艦向けの先端技術を要求したりして、正恩氏はプーチン氏を揺さぶる可能性もある。
両国は短期的には紆余(うよ)曲折があり得るが、いずれ米国に対し、「敵の敵は味方」のロジックから共同路線を取る。
これに中国も加わるのは確実だ。

これは、ロシアのウクライナに対する継戦能力を高めるだろう。となると、ロシアによるウクライナ戦争はさらに長引く可能性がある。
ただし、専制国家間におけるロシアの地位低下は甚だしい。

さらに、ロシアと中国、北朝鮮の連携は、日本にとって「三正面作戦」を強いられることになることを意味する。
本コラムで再三繰り返してきたが、従来の一正面作戦で防衛費の国内総生産(GDP)比が1%だったので、
三正面作戦ならGDP比3%だ。
今年度予算で「防衛国債」は海上自衛隊に限定されたが、その合理的理由はない。
陸上自衛隊、航空自衛隊まで拡大して、備える必要がある。

来年1月の台湾総統選の結果によって、台湾有事が現実化する可能性がある。
「あるかないか」ではなく、「いつあるか」という状況だという意見も少なくない。

その際、中朝露の連携が機能する恐れもないとはいえない。それには、米国をハブとする「日米韓台」で対抗せざるを得ない。
こうした究極のことまで抜かりなく考えておかねばならない物騒な世界情勢だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

夕刊フジ 2023.9/10 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230910-TDMK42GUFNJYFI4KHJ4KJUH3OI/

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