ステラケミファ(4109)は、2019年の対韓輸出管理強化3品目(フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト)のうち、
高純度のフッ化水素を製造するメーカーとして有名だ。

同社など日本メーカーの品質が「99・9999999999%」(トゥエルブ・ナイン)であるのに対して、
韓国製はファイブナイン程度といわれる。ケタ違いどころか7桁も違うのだ。
同品質の製品の国産化を豪語していたが結局3年経っても実現できずに、日本に「輸出管理規制緩和」を頼み込んでしのいでいる。

半導体は市況産業であり、浮き沈みも激しいが、今後、軍事的・政治的にも重要になることは間違いない。
「日本品質」で世界を席巻するステラケミファが優良企業であり続けることは間違いないだろう。

同社が株式の38・2%を保有するのがステラファーマ(4888)だ。これまで赤字を続けてきた企業である。
したがって、バフェト流の投資基準には全く当てはまらない。
だが、BNCT(Boron Neutron Capture Therapy=ホウ素中性子捕捉療法)
という同社の事業は極めて興味深い。

中性子を照射する一種の放射線療法だが、中性子はエネルギーが小さく人体への影響(副作用)がほとんどないといわれる。
どうやって治療をするのかというとホウ素薬剤を点滴投与しがん細胞に取り込ませる。
ホウ素を取り込んだがん細胞だけが激しく中性子と反応し「患部だけをピンポイントで治療」することが可能である。

この原理は、1936年には米国で提唱されていたのだが、2012年に日本で世界初となるBNCTの治験が開始。
20年に世界初のBNCT用医薬品ステボロニンについて「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部(けいぶ)がん」
を効能・効果とした製造販売承認を取得した。
もちろん、まだ未知の部分はあるが、「画期的がん治療」にもなりえる。 
(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩) =敬称略

夕刊フジ 2023.10/5 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230929-H2JTZW5NO5NBVE4W7CC42V3B3A/